ミヤ

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"色とりどり"

先生の趣味は独特だった。
作業台の上に散らばる色とりどりのかたまりをジーッと眺めていると、"君は逃げないんだね"と言われたので首を傾げた。
"やってみるかい?"と道具を手渡されたけど、重すぎて取り落としてしまった。
"そりゃそうか、ごめんごめん"と苦笑して道具を拾い上げる先生の手は細くしなやかで、どこにあの無骨な道具を扱う力があるんだろうと不思議に思った。

色のかたまりから、少しずつ表面が削ぎ落とされていく。完全にバラけた所で、ようやく写真と同じものが見えた。まじまじと見つめていると、覚えなさい、と言われた。
逆算して、想像できるように。
形を、輪郭を、骨格を肉を神経を全てのピースを視界に焼き付けて忘れないように、と。
"君はぼくと同じ類いの人間だろうからね。これからも生き続けるというのなら覚えておいて損はないよ"と、先生は赤く染まった手を拭いながら僕に笑いかけた。

1/9/2026, 6:08:53 AM