"糸"
銀色の針が布地をスイスイ泳ぎ、均等な足跡を残す。
最後にパチンと糸端を切って、出来上がり。
昔は反物から着物を仕立てられてようやく一人前と認められたの、と祖母は言っていた。
あなたも簡単な針仕事はできた方がいいわ、と様々な事を教えてくれた。
祖父にはあんまりいい顔をされなかったけど。
ほつれの直し方やボタンの付け方から始まり、最終的には衣服の仕立てまで。
縫い上がった単の着物や白いシャツを見分し、祖母は合格だと満足気に頷いた。
身につけた技術は一生物だ。
今でもたまに甚平を縫ったり、綿入れを作ったりと重宝している。
簡単な繕い物はできた方がいいと思うけど。
でもまぁ、今の大量生産・大量消費の時代なら必要無いのかもしれないな。
"届かないのに"
一際輝く星に視線が吸い込まれ、五指の、星の形をした手のひらを夜空に向かって伸ばした。
あれが欲しい。あれほしい。あれ、星。
星には決して手は届かない。
それでも時折手を伸ばしたくなるのは何でだろうね。
"記憶の地図"
広げた地図の上に記憶を重ねて
貴女の痕跡を探す。
買い物帰りによく通った真っ直ぐな道。
へばりながらもなんとか登った坂の道。
入り組んだ路地では何度も迷って苦笑されたっけ。
不思議なことに、いくら紙面上の道を辿っても、あの日貴女が手を引いてくれた近道が見つからないんだ。
"マグカップ"
ようやくひと段落ついた。
ここ最近ずっとバタバタしていたからなぁ。
時間と手間のかかる研修はやめてくれ…。
報告書の山ももう見たくない…。
現在二徹目、明日も通常業務があるから早く寝なきゃと思うのに、こういう時に限って目が冴える。
とりあえずマグカップを用意して、ホットミルクでも飲むか。砂糖と蜂蜜もまとめて入れてしまえ。
ほんと、お疲れ様でした。
"I love"
love という単語は古英語のlufuが語源とする説が有力だけど、bacronymを使った説もある。
bacronymというのは、その単語になるように後付けで意味をでっち上げる言葉遊びみたいなもの。
英語版のあいうえお作文的なものだ。
有名所で言うと、
"SOS : Save Our Ship / Souls"
"NEWS : North,East,West,and South"
"adidas : All Day I Dream About Sports"
あたりかな。
"Denial : Don't even notice I am lying."
(否認:自分が嘘をついていることに気付かない)
"Marlboro : Man always remember love because of romance only."
(マルボロ(煙草):男は浪漫がゆえにいつも愛を心に留めている)
なんていうのも上手く作られていて面白い。
本題のlove は、
"love : Listen,Over look,Voice,Excuse"
(愛:傾聴、俯瞰、声掛け、赦し)
が有名。本質を捉えているようで、なるほどなぁと思わず納得してしまう。もうこれが正解でいいんじゃないかな。