君を見かけた時から私の心は動かされたよ。
今日もかっこいい君を横目に私はスマホを開いて文字を打つ。下校中友達と会う君を見ながら、私はまた文字を打つ。
同じバスに乗ってバイト先に君が行ったことを確認し、その横顔をパシャ。そのまま君の家に向かう。今日だけ、今日だけ特別だよね。今日は月に1回のカメラ回収の日♡
ねぇ、君の全部を私に見せて?
ずっと心の中に私の本音をとじこめ固く鍵をかけて、そっと奥底の誰も触れない場所に置いておこう。
そう決めたのは私が中学2年の時。
君は天使みたいで、私を地獄から救ってくれた。そこから私たちは親友になって、二人で助け合ってきたよね。私、凄く嬉しかった。私にできた初めての、本当の自分を出せる友達だったからさ。でも、君とクラスが離れると、また私の地獄は再開した。私はもう一度君に助けを求めたよ。すると君は私をまるでゴミでも見ているかのように見ながら言ったね。
んー、いい暇つぶしだった!じゃ、気持ち悪い。さっさと死ねよ。気安くもう喋りかけてくんなよ。お前虐めようって言ったの私だし。それに気づかないお前、相当やばいね笑私がちょっと優しくしたらすぐ友達って、親友だって、可哀想な人生だね笑。私、お前のこと嫌いだから、さっさと首吊ったら良かったのに笑まぁ、本当にいい暇つぶし相手だったよ笑じゃ、早く消えて?
え?私の思考回路が完全に止まった。君が首謀者?あれだけ私と仲良くしてくれたのに。私が唯一素を見せれる親友は、親友だと思っていた人は私を裏切って…いや、最初から裏切られていた。誰か、誰か助けて…誰か、私の味方になって……そう言えるはずもなく、私は自分の素を出せなかった。
ギィ、ギィ……
《次のニュースです。
昨夜未明。
𓏸𓏸中学校の生徒が自室で自殺しているのが発見されました。年齢は14歳。現場にはロープで首を吊ったであろう遺体があり……》
カツカツ。ピンヒールの音だけでこのビル全体を恐怖に陥れる。呼吸をゆっくり整えて、私は身を潜める大丈夫、大丈夫。心の中で何度も何度も言い聞かせた。カツカツ。足音がだんだん近くなって、カツ。止まった、私の視界は急に真っ暗になって、グシャ。何かが潰れた音がした。カツカツ、足音が遠くなる。状況を確認しようと目を開けた。いや、目を開けようとした。私は悟った。グシャという音は私の目が潰れた音だった。
旅とは、人それぞれの解釈があると思う。実際私は、旅とはいつか終わるもの。そういう捉え方をしていた。でも、君に出会ってその考えは大きく変わった、というよりも別の捉え方も知ることが出来た。
君はいつも人の為に何かをしていたね。私はそんな君に何となく惹かれていったよ。ふわっと笑うその顔がとってもいとおしく感じた。そこからだんだん距離が近くなって、いつの間にか結婚してた。
私は君に聞いたね、人生楽しい?と。そしたら君はこう答えたね。
僕はね、人生は長く永遠に続く旅だと思ってるんだ。死後でも、たくさんの花に囲まれながら長い長い旅をするんだ。旅はずっと続くものだよ。でも、絶対楽しいとは限らない。つらさを乗越えてこそ本当の楽しさがあるんだ。だから僕は、もっと君と楽しい思い出をつくって永遠に旅をしたいな。そういう君の顔は既に痩せこけて、空に浮いていきそうだった。
いつからだろ。私の世界に色が消えていった。モノクロの中生きるのは私にとって辛かった。この世界での「色」というのは感情を指しているらしい。色の判別ができない私は皆んなから差別を受ける。受けるごとに私の目から色が失われていく。誰か私を助けて、そう言えるはずもなく私は静かに虚無に飲まれていった。