早くお迎え 来てくれないかな
僕はピンと感覚を研ぎ澄ますんだ
鼻はツンとした消毒薬の匂い
目は白い壁と小さな窓のついた扉
爪と爪の間にふわふわしたタオルケットの感じ
耳は
耳は
ほら 扉の開く音
絶対に来てくれると信じてた
小さな扉からキャリーバッグへ飛び込んで
窓から見えるのはパパとママとあの子の笑顔
皆んなの言葉はよく分からない
でも早く帰ろうってそれだけは分かるんだよ
消毒薬の匂いも白い壁も
馴染みないふわふわのタオルケットも
バイバイだ
*病室**
とびきり早起きして軽めの朝ごはん
ちゃっちゃと掃除機かけて
その間に洗濯機回して
ささっと洗い物
できた洗濯物をパリッと干したら
解放の時がきた!
さあ何をしよう
本を読むか、録り溜めた番組を流すか
いやいやおやつをお供にゲームでしょう
待って、曲聴きながら編み物したかったのを思い出した
お出掛けもいいな
図書館で本の空気をいっぱい吸いたい
いやいっそ本屋に行くのはどうだろう
服みて雑貨みて、あのお店でお昼ごはんをすませるのはどう
いつも頑張っているんだから
たまの一日くらい
自由に弾けてもいいじゃない
そう思いながら
現実は一日中お布団の世界の住人なんだよなあ
明日、もし晴れたら
心も体もお布団の外へ旅立ってみようかなあ
あした天気にしておくれ!
あした天気になあれ!
*明日、もし晴れたら**
一人は孤独
時折どうしようもなく寂しい
一人は気楽
誰にも気を使わないでいい
話せないわけじゃない
孤立しているわけでもない
でもなぜか
ある瞬間にスイッチが入って
自分が異世界人になってしまったかのような
錯覚に陥って抜け出せなくなる
頭が真っ白になって
その場の空気から外れてしまう
分かち合えない
理解も難しいだろうこの感覚
寂しいけれど
気楽だから
私は一人でいたくなるのだ
*だから、一人でいたい。**
君の瞳は最も心情を映す鏡
嬉しい時は輝きを放って眩しく光り
怒れる時は鈍い光を集めて閉じ込める
悲しい時は黒みを帯びた瞳を潤ませ
楽しい時は明るく弾んだ瞳を綻ばせる
活き活きと今この時を生きている君
私は愛おしくてたまらない
*澄んだ瞳**
人生、まさに戦いの最中と実感する瞬間があると思う
私にとってそれは今!
約8年をかけて通信制大学の社会人大学生として学び
時に挫けて弱音を吐き
中退が頭をちらつく日々も長く
それでも働きながら実習をこなし
週末ごとにスクーリングへ通いながら
月に一度の課題提出と科目試験に喰らいつき
国家試験の科目数と出題範囲に絶望を感じつつも
参考書と問題集とノートに鉛筆赤ペンを爆走させて
前乗りした宿泊施設で眠る直前まで復習と暗記を繰り返す
受験前日の今!
何がなんでも明日は会場へたどり着いてみせる
たとえ嵐が来ようとも
私は私を決戦の場所へ送り届ける
そして全力で問題へ挑むのだ
最後の1分1秒まで決して諦めることなく戦い抜くのだ
最終決戦に向けて、勇敢な戦士よ
たとえ嵐が来ようとも
何にも動じず
恐怖に負けず
明日のために懸命に布団の中で瞼を閉じるのだ
まさに人生、戦いの最中である
*嵐が来ようとも**