てんしる、ちしる
われしる、ししる
だれかがみている
どこかでみている
きのうのわたしも
きょうのわたしも
いつもといかける
やさしくありたい
じぶんにまわりに
ただしくありたい
じぶんのこころに
おてんとうさまを
みあげてごらんよ
まぶしくあかるい
てんしる、ちしる
われしる、ししる
『やるせない気持ち』
洋服の裾の綻び
裁縫箱を出して
針に糸を通して
ちくちくと縫う
苦手だけど縫う
縫目は美しくね
表に出ないよう
祖母の針仕事は
優しくて丁寧で
しつけ糸の白の
大きな三つ編み
するりと一本を
取り出していた
私もやりたくて
何度も絡まった
子供だからかな
大人になった今
苦手だけど縫う
祖母の大きな手
偉大な魔法使い
『裏返し』
あの大きな海の群青に抱かれて
泳ぐ魚はどんなに幸せでしょう
手を繋いで楽しそうに歩いてる
人間達はどんなに幸せでしょう
好奇心と少しの羨望を覗かせて
夢を見て飛んでいたとしたなら
不自由で自由なこの世界の中で
私はまた人間を選ぶのでしょう
空を見上げ恋しく思うでしょう
しがらみのない所で生きたいと
『鳥のように』
空は夕暮れ色に染まる
さよならとさようなら
明日も会えるよきっと
今夜はシチューがいい
謎のテレパシーを送る
ライ麦パン買って帰ろ
カラスが鳴いたら帰ろ
お腹が空いている時は
センチメンタルに注意
食べること生きること
疲れたのなら眠ること
少しのことなんだけど
気持ちって変わるから
すうっと深く息をして
真剣に考えることって
ないのかもしれないよ
『さよならを言う前に』
今日こちらは曇り空です
じゃがいもがごろごろと
キッチンで騒いでいます
私が帰る日にお父さんが
長靴に履き替えて畑へと
大きな黒い手で土を掘り
丁寧に取り出した光景を
思い出していました私は
子供のようでしたあの日
とても暑くて山が近くて
深い緑色がこんなに側に
迫ってきてる見上げたら
忘れていた夏の空でした
じゃがいもがごろごろと
洗われるのを待ってます
夏の暑さが続いています
『空模様』