亜麻の花が揺れてる
限りなく透明な青色
涼しげな夏空のよう
大地と繋がっている
地植えの花は逞しい
鉢植えの花は優しく
水切れしないように
暑いとか雨が嫌とか
天に文句は言わない
友人を思い出した朝
今年の夏は暑いかな
ふと私が思ったのは
文句ではないですよ
亜麻の花が笑ってる
あの人がくれた夏色
『繊細な花』
数え年、
生まれた時を一歳とする
還暦のお祝いは満年齢で
長寿のお祝いは数え年で
大切なひとが生きている
健やかに穏やかに幸せに
この世の中に溢れている
言葉だけでは足りなくて
私はあなたの声を聞く度
幸せを願っているのです
喜びを共有できることを
嬉しく思っているのです
『1年後』
わたしは左利きです
お箸を持つ手は右に
文字を書く手は右に
普段は寡黙な父親が
直すように注意して
大人になったのです
使途に応じて右か左
林檎を剥く時は右で
野菜を刻む時は左で
球を投げる時は左で
打席に立つ時は右で
子供の頃使っていた
真っ赤なグローブは
お下がりではなくて
私だけの宝物でした
懐かしい思い出です
『子供の頃は』
まわるまわる
地球がまわる
こちらは朝で
あちらは夜で
眠る所があり
食べ物があり
衣服に恵まれ
争いを知らず
穏やかな世界
蛇口から水色
清浄なる空気
有難い有難い
目覚めた朝に
『日常』
ふくろうのそめものや
むかしむかしのお話し
白いカラスのおめかし
何色が似合うでしょう
文句ばかりいけません
怒らせてはいけません
染料をざぶりざぶりと
カラスへかけたその後
黒いカラスの仕上がり
お話しの続きは絵本で
どんな色が良かったか
自分にしか分からない
カラスは怒ったけれど
黒い羽根をよく見ると
虹色に輝いて美しいよ
教えてくれた木洩れ陽
心にそっと秘めている
誰かに伝えたいお話し
『好きな色』