いつかその未来、
こぐまと一緒に暮らすんだ。
そんな時がきたら、
きょうは晴れてるから
太陽の色みたいなオレンジの服を作ってあげるよ
って話すんだ。
そしたらこぐまは手をたたいてよろこぶんだ。
あめのひには青いぼうしをつくるよ。
そしたらこぐまはかわいく鳴くんだ。
雨のなか、跳ねるようにでかけていくよ。
たとえみどりいろが好きで私が君の好みを完全に間違えたとしても
まんまるな目でこっちをちょっとみて
ゆるしてあげるって君はいうんだ。
しずくときくと、
綺麗な感じがする。
窓を打ちつける雨よりも
かなりおとなしいしずくの音。
音もなく滑り下りる。
静かに地面を濡らし、ときに頬をつたう。
夏の夜には露で濡れた野草が電灯に照らされ、
ホタルと見間違えるほどのきらめきを持つ。
しずくに知らず知らずに癒やされている。
しずくみたいなそんな人になれたらいいな。
ちいさいころ、
よくぷかぷか浮かぶ風船を買ってもらった。
だいじにだいじに持って帰った。
でもときどき手を離してしまって
遠くの空へ飛んでいってしまった。
おとなになって
ガーデンウェディングをしているひとたちが
パステルカラーの風船たちを空にたくさん飛ばしているのを見た。
青い空に散らばった風船がまぶしかった。
私がちいさいころ飛ばしてしまった赤い風船のことを
思い出した。
ー4月。
桜が咲き誇り、風に花びらが舞う。
その向こうではウグイスが忙しくラブソングを歌っている。
菜の花のそばでモンシロチョウもつがいでひらひらと踊っている。
風に合わせて足元のチューリップもゆれる。
公園でおしゃべりに夢中な学生たちとすれ違う。
春爛漫。
今年も会えてよかった、大好きなこの季節に。
ぼくは時計を持っていない。
日の出を見て 朝を知り、
お腹の音で朝食にする。
太陽が高いところにある時には 海へ。
青い空がぼくを出迎える。
白い浜辺で探すきらきらの貝殻。
空の宝石が星だとしたらこれは海の宝石だな、
なんて思いながら,水に濡れてにじいろに光るそれを太陽にかざす。
あっという間に時間が過ぎる。
沈む夕日を見て 日没を知る。
袋いっぱいの海の宝石を持って急いで君のもとへ。
早く見せたくて 家まで駆けてく。