ないしょでプレゼントを用意している時、
ワクワクする。
どんなにちいさなプレゼントでも。
プレゼントを手紙と一緒にさりげないところに置いたりする。
はやく帰ってこないかなぁ。
何ていうかなぁ。
君がプレゼントに気づくまで、何気ないふりをがんばる私。
こういうふりは 何度でもしたい。
喜びは積み上がっていくから。
野菜は互いを羨むだろうか。
じゃがいもは、自分のおいしさを忘れて にんじんの色やビタミンを欲しがるだろうか。
にんじんは、色の白い大根にあこがれを持つだろうか。
大根は、なばなの春の香りにうっとりするだろうか。
なばなはえのきだけの栄養のすごさを知って悔しがるだろうか。
えのきだけはじゃがいものホクホクさにイライラするだろうか。
私にとってはどの野菜もおいしく、必要なもの。
五感を楽しませてくれる。
にんげんがもつものも きっとそうなんだろう。
きれいごとではなく。
きょうは 天気がよくて気持ちがいい。
桜クリームソーダを頼んだ。
炭酸はそんなに好きじゃないのに。
しばらくして目の前に置かれたのは可愛いピンク色の飲み物。
もちろんさくらんぼも載っている。
可愛さに心が揺れる。
グラス越しに見える光が染まっている。
ふと窓の外を見ると、桜が咲いている。
ああ、春の陽気に乗せられたんだ。
炭酸はたいして好きじゃないのに。
ようこそ、春。
ふたりぼっちで日々を歩く。
あの日誓ったままに 進む。
ちょっとしたことで笑って、
バカみたいに楽しめるふたりぼっちな時間が好きだ。
その先には、永遠が待っている。
バカみたいに、がむしゃらに歩き始める。
どんな道でも。
あーあ。
おめめとれちゃった…。
公園ベンチに座ってクマちゃんを見つめる。
右目がころんと垂れ下がってクマちゃんも泣いているみたい。
よく見るとあちこちよごれていることにもきづく。
わたしも かなしくなってきた。
クマちゃん、ごめんね。こんなにだいじなのに…
涙がでてこないようにぎゅっとクマちゃんの手をにぎりしめた。
「どうしたの?大丈夫?」
やさしい声が上から聞こえた。
その姿を見て、気づけば ぽたぽた泣いていた。
「かわいいクマちゃんだね」
そう言って頭をなでてくれた。
「いいものがあるよ」
そういって1枚の紙をくれた。
“あなたのたいせつなもの、なんでもなおします”
「今度の日曜日、クマちゃんを持っておいで。」
ほんとうになおるの?ほんとうに?
わたしはぴかぴかになったクマちゃんをおもいうかべてみた。
たのしくなってきた。
クマちゃんをぎゅっと抱きしめて、
もう泣かないよ、ってクマちゃんに言った。
にちようびはもうすぐなんだから。