【朝日の温もり】
騒がしい夜を越え
静けさに包まれた朝がやって来た
朝日の温もりは冷え切った心を温め
私に今日を生きる元気をくれる
【岐路】
あの時、道を間違えたのだ
もう一つの選択をしていれば
今ごろはきっと……
なんて思うこともあるけれど
もう一つの選択をしていたら
さらに酷い状況に陥っていたかも知れない
岐路に立つたび
その先のことを考える
この道の先にあるのは
幸か不幸か
どれだけ目を凝らしても見えないが
どんな結果になっても
後悔しないような選択を
自分の意思でしたいのだ
【世界の終わりに君と】
星を掴んで金平糖みたいに食べたい
雲を掴んで綿飴みたいに頬張りたい
月を掴んで煎餅みたいに齧り付きたい
君はそう言って弱々しく笑った
絵本に影響された子どもが言うようなことを
虚ろな目で言うんだ
僕たちはもう
半年くらい二人きりで過ごしていて
君が好きなお菓子なんてどこにもないし
満足に食事もできていない
君が絶望するのも仕方ない
僕だって同じなのだから
僕はズボンのポケットから
小さなクッキーを取り出した
とっておいた最後の一枚だ
僕はそれを半分にして
もう半分を君に渡す
世界の終わりに君と
クッキーを口に放り込んだら
大袈裟なほどに甘くて
まるでおかしな毒でも回っているかのように感じた
もう他に食べるものなんて無い
もしあるとすれば、それは……
二人でゆっくりと静かに咀嚼しながら
近いうちに本当の終わりが来ることを
僕は予感していた
君の目が鋭く光ったのも
僕は見逃さなかった
でも、僕はそれでいい
これからも君が生きていけるなら
きっとそれでいいと思うんだ
【最悪】
私にとって最悪なことは
この世界に生まれたことだ
【誰にも言えない秘密】
興味本位、純粋な好奇心
綺麗な言い方をすればそういうものだった
面倒ごとをなんにも考えてない十代半ばの私たちは
恋愛ドラマやネットの情報を目にして
ただの憧れで大人の真似事をした
友達の延長線上
緩い付き合いの私と彼
一つの愛というものも知らず
たまたま生まれた空気に流された
振り返れば醜く下品なだけで
私の憧れとはほど遠いものに変わっていた
途中で嫌だと言っても
彼は大人とはこういうものだと
私の気持ちより好奇心を優先させた
そのあとは怖くなって
とんでもないことをしたと思った
それでもしばらくは
この気持ちを抱えていなければならなかった
誰にも言えない秘密を持って
自分はまだやはり子供だと思い知らされて
彼は何故だか素っ気なくなって
私はこの世に独りきりな気がして
どうしてだろう、彼だけでなく神様は私を見捨てたのか
月は冷笑を浮かべて降りてこなかった