【星が溢れる】
出会った時から
君の瞳の色が好きだった
薄茶色の透明感ある瞳は
僕をすぐさま魅了した
やがて付き合いはじめて
何度目かのデートの時に夜景を見に行った
君が笑いながら僕を見上げたら
その瞳の中がキラキラしていて
まるで星が溢れているようだった
瞬きするたびに星が弾けてはまた生まれ
それがとても綺麗だった
僕は君のことが好きで好きで
その瞳も好きで好きで
心の中は未来への希望に満ち溢れていて
無数の流星が降り注いでいるかのようだ
これからも君と
穏やかな時間が過ごせますように
心の中の流星にそっと祈った
【安らかな瞳】
あの娘はたくさん苦しんだ
僕にはとても想像できないほどに
毎日のように僕に電話をかけてきて
何時間も泣いていた
あの娘は苦しんだ挙句
自分で命を絶とうとした
幸い命は取り止めたが
記憶を失くしていた
僕と出会った時にはすでに
深い苦しみの中に囚われていたあの娘は
記憶を失った今
僕が見たことがないくらい安らかな瞳をしていた
苦しい記憶を失くし
自分の積み上げてきたものも
楽しい思い出も失くし
今僕の前で
安らかな瞳をして微笑んでいる
「あなたは誰?」
何の不安も無さそうな顔をして言うのを聞いて
苦しんでいないことは嬉しいのに
やっぱりすごく悲しくて苦しくて
気付けば堪えきれなかった涙が頬を伝っていた
【ずっと隣で】
あなたの隣に居たいの
嬉しいことがあった時の輝くような笑顔も
夢に向かって努力している時の真剣な表情も
ずっと隣で見ていたい
時々落ち込んだり
辛い思いもすると思うけど
そんな時は
ずっと隣で支えたい
ねえ
ずっとあなたの隣に居たいと思うのは
ワガママなのかな?
この願いが叶う時は
来るのかな?
【もっと知りたい】
初めて同じクラスになった君
君のこと、初めはなんにも知らなかったけれど
授業中ノートに落書きしてることや
昼休みにいつも焼きそばパンを食べてること
友達とわいわい騒ぐより、だらだらと話すのが好きなこと
こっそり観察しているうちに
少しずつ君のことが分かるようになった
だけどまだまだ足りないんだ
君のことが
もっと知りたい
【平穏な日常】
産まれてからずっと
つまらない毎日が続いていた
平凡で呑気で
悩みもなければ面倒ごともない
俺はこれからもこうして
のんびり歳を取っていくんだろうなーと思っていた
それが壊れたのは突然だった
政府がわけの分からないことをテレビで言ったかと思うと
数日後には村のシンボルである銅像が破壊された
その翌日にはよく通っていた飲み屋が爆撃に遭い
そこの店主と馴染みの常連客たちが死んだ
まさか空からの攻撃に怯えながら
走って避難するような日々を送ることになるとは思っていなかった
俺は平穏な日常に飽き飽きしていたが
それがすごく恋しい
どれも失ってから
大切なものだったのだと気付いた