【たった1つの希望】
迷い立ちすくむ私を
あなただけが導いてくれた
まるで暗闇の中にぽつんとある
光のように
あなたは私にとって
たった1つの希望だった
闇の中にいる私の声が届かなくても
どうか光の中から
変わらず私を呼んでください
【欲望】
僕はどんなものも手に入れないと気が済まない
お金、人気、流行りの服や電化製品、好きになった女の子…
自分が欲しいと思ったものや気に入ったものは必ず手に入れる
どうやって手に入れてるかって?
僕の父さんはお金を腐るほど持ってるし
僕を溺愛しているから
欲しいと言えばすぐに叶えてくれるんだ
だけどね
僕が一番欲しいものは手に入らない
父さんはお金をくれるだけだから
父さんとのんびり話したり悩みを相談したり
それが一番欲しいのに
いつも父さんは仕事で忙しくしている
だからこそお金を持っているわけだけど
僕はきっと
父さんが居なくて寂しい気持ちを
他のもので埋めているんだろうな
父さんから貰った札束を握りしめて
満たされない欲望を思いながら唇を噛んだ
【列車に乗って】
寒い朝
列車に乗り込み
あなたに会いに行きます
ずっと会いたかったあなたですが
戦地で命を落としてしまったのですね
笑顔のあなたに再会できることを願っていましたが
まさか骨を受け取りに行くことになるなんて
列車の窓を開けると
冷たい風が吹き込んできます
吐く息は白く
外に積もっている雪も白く
冷ややかな空気は
私の悲しみをさらに深くさせました
【遠くの街へ】
私の住んでいる場所はつまらない
美術館や水族館があって
ゲームセンターがあって映画館があって
美味しいレストランもカフェもあるけれど
どれにも心は惹かれない
みんなが楽しそうにすればするほど
私の心は寂しくなる
同じ気持ちになれなくて
孤独を感じるから
だから私は遠くの街へ行くの
静かなところで住んでいる人が少なくて
小さなお店がいくつかあるだけでいい
時々仲良くなった誰かと
落ち着いたカフェでちょっと話すくらいでいい
うるさすぎて華やかすぎる今の都会を離れて
どこか遠くにある大人しくて優しい街に行きたい
【現実逃避】
見たくない
逃げ出したい
全部嘘ならいいのに
ほら逃げる場所はここにある
飛び出そう
僕らの夢の世界へ
どんな悩みも恐怖も痛みも悲しみも
全て消え去る世界へと
辛いのは一瞬さ
現実逃避は簡単で難しい
現実直視が辛いなら
選択するのもアリだろ
だけど
苦しみの果てに得るものもある
それは現実でしか手に入らない
欲しいなら掴め
夢の世界ではなく
この世界で