短い雨で叩き起こされた
今この時に生まれるしかなかった

夏が来たよと誰かに伝えたかった
ぼくの前に生きていた者も
ぼくの後に生まれる者も
それを願って鳴き喚くんだ

ぼくは生きている
木の幹にしがみついて
ジーワジーワと
いのちを感じている


届いて…

あそこに座っている星が
いつか還るふるさとならば

遠くまで旅をしに来た私よ
やがて巡り合う星々と

今夜だけでも静かに踊ろう
川べりで待つ彼らを祝福しよう


願い事

打ち上げられた貝やクラゲや
プラスチックの破片や何かが
辺り一面の光の粒に混じって
またどこかへ攫われていった


青い風

遠くへ行きたい

滝が落ちていく少し手前へ
左足の小指の骨の先っちょへ
かみなり雲の真上の層へ
ありんこたちの隠れ家へ

どこか遠くへ行きたい
こころだけでも、どうか



遠くへ行きたい

沈黙の中で私の内側に耳すませば
結晶どうしがぶつかり合うような音が
やがて鳴り出だすだろう
それが本当の言葉だ
飾らない瑞々しい言葉だ


クリスタル