ご先祖様のために線香に火を灯した
清らかな白檀の香りが充満している

蚊取り線香はどうだろう
その命を奪っておきながら
蚊ために私は何もしてやれない

暑い空に羽ばたくいくつのも命よ
この煙を纏いながら逝きたまえ



夏の匂い

吹く風があつい空気をまとっている
海に想いを馳せる私がいる


夏の気配

深い深い森の奥で
一本の木が倒れていった

深い深い海の底で
クラゲが息を引きとった

どうかどうかお天道様
空へ昇る道をお示しください

はるかはるか天高く
彼らの声は届いただろうか


最後の声

髪の毛一本落ちていた
私の頭から抜け落ちた

私の頭を守ろうと
仲間と手を取り合いながら
じっと耐え忍んでくれた

髪の毛一本落ちていた
私の一部だった髪の毛
確かにそれは愛だった


小さな愛

こんなにも空が光っている
この小道をゆっくりと歩きたい
葉の一枚一枚とたわむれていたい
鳥のおしゃべりに耳を傾けていたい


空はこんなにも