よだれやミルクのかおり
ろくなおしゃれもお出かけも
夢のまた夢だった
早く手がかからなくなればなんて
思うこともあったのに
ひとり立ちしようとしている不器用なキミが眩しくて
ムカつくくらいな綺麗な空 なんてつぶやくキミが
誇らしいような むず痒いような
キミに会いたい しなやか作
時は違えど
近頃の娘たちも
交換日記とやらを
するらしい
そしてやっぱり
誰を省いた
誰を入れた
そんなことを繰り返しがち
SNSのイザコザと
交換日記のゴチャゴチャと
令和の時代も文したためて
意外と大人になって見つかったら恥ずいのは
交換日記なのかもしれないなんて
鍵付きとか持ってたよなー
閉ざされた日記 しなやか作
結構好き
寒い冬に 木が立ってる姿
ただ耐え忍んで
凛として
おまえだけじゃないって
祈るような気持ちで
木枯らし しなやか作
若さゆえの 潔さで
世間知らずの 美しさで
20代の私は 海を渡った
お酒を飲んで 彼を独占して
ただただ離れたくなかったの
安定した仕事を手放すことも
異国の地で ちっともこわくなかったし
むしろ 夜中の埠頭なんかで カッコつけてたの
母が 荷物もひっくり返して
泣いて怒ったわ
こんな下着いらないじゃないって
お土産を渡しても 食べてくれなかったわ
もちろん母の思惑通り
敷かれたレールに戻ってきた私
娘が生まれた今 娘が美しく 日々美しく
なっていくのが 誇らしく 妬ましく
私にもそんな時があったのよって
その時は気がつかないものなのよって
うまくいえなくて 口うるさくなって
美しい しなやか作
歴史から学ぶとかいうけどさ
国のお偉いさん方は優秀なはずなのに
このウイルスについてさ
同じこと繰り返してる
もう3年目だけど
私たちの世界と違うとこに住んでんのかな?
青春を謳歌しそびれつつある娘がつぶやく
SNSではなく テレビにでもなく
自粛とかいう懐かしい言葉
久々の家族団欒中に
中2の娘がつぶやく
この世界はどこに向かってる
大丈夫なフリをしてるだけやん‥って
言い得て妙
この世界 しなやか作