私の命が終点に近づいても。
世界は変わらずに回り続けて、誰も変わることはない。
今こうやって刻々と終点に近づいているけれど。
その終点が今すぐでも、もっと先でも。
私は何も変わらないだろう。
最初から決まってたの、この恋の運命なんて。
私が貴方を好きになることも。
貴方が一生私を好きにならないことも。
貴方の中じゃ、私なんてちっぽけな存在なんだろうけど、私の中じゃ貴方は全て。
貴方に好かれる為なら何でもしたんだよ。
貴方好みの子になりたくて。
貴方の瞳に映りたくて。
最初から決まってたのなら、こんな苦しい思いもしなくて済んだなら、貴方に好かれることはないと分かっていたのなら。
貴方のことなんて、恋なんて_。
それでも私は、貴方を諦めるなんてないの。
例え一生このままだとしても、結ばれることなんてないと分かっていても、この恋の運命が最初から決まっていたとしても。
『最初から決まってた』
君に名前を呼ばれるだけで胸が高鳴って、その名前を特別に思えた。
君が名前を呼んでくれるから、私は自分の名前を好きになれたし、1日を頑張る元気をもらえてたんだよ。
なのにさ…
ねぇ、最後に私を名前で呼んだのいつだっけ?
口を開けば、「お前」だの「おい」だの。
目さえも合わせてくれなくなって。
君が呼んでくれるから、特別になった私の名前。
君が呼んでくれなきゃ、自分の名前に価値なんてないんだよ。
だからちゃんと私を見て、私の名前を呼んで。
『私の名前』
私の瞳に映るのは、いつでも貴方だけ。
貴方が私の視線を奪ってから、この世界はやっと色付いて、胸の高鳴りを初めて感じたの。
なのに、貴方の視線の先にはいつでも私以外。
ねぇ、どうしたら私をその瞳に映してくれるの?
私の視線を奪ったくせに、私の世界を変えたくせに、私に初めて胸の高鳴りを教えてくれたくせに。
責任取ってよ、貴方のせいでもう貴方以外見れなくなったんだから。
私の視線を貴方で独占して。貴方の視線を私が独占させて。
ねぇ、いいでしょ?
『視線の先には』
結局、私だけが好きだったんだね。
彼に別れを切り出された。
近々そう言われるような気がしていた。
だって、連絡はいつも私からだし、デートのお誘いも私から。好きと言うのも私から。
ねぇ、いつの間にか手すら繋いでくれなくなったの、なんでなの?
貴方が好きだって言ってくれた髪型、新しく買った洋服も前なら可愛いねって言ってくれたのに。
お揃いで買ったネックレス、先に外すようになったのは貴方から。
私よりいい女なんて、いなければ良かったのに。
なんて言う私は面倒臭い女だ。
そんな女、彼は好きじゃないから、私はちゃんと涙を拭って前を向く。
そんなことしたって涙は止まらないし、彼のことはずっと好きだけど。
最後に一回だけでも、こんなに好きだったのは私だけだよって言ってくれたら。
どんなに良かっただろうな。
『私だけ』