『おかえり、縁側』
蟻と雑談が列を作って歩いていく　かたや夏休み　アイスキャンディーぬぼーっと溶け出す　誰も見てないテレビの報せ　わりと大事なことだった　どちらかというと素麺に夢中　不自然に赤いさくらんぼ　僕らのことをふふっと嗤った

　　　　『こんな会話じゃ歯が溶ける』
白髪のおじさんがパイプをふかす　前時代のアパートは杉並区の味がする　駅から徒歩15分君と二人だ　ゆるいパーマかけてみた　君はあんまり好かないみたい

　　　　　　　　『光について』
ふざけあって　よるが霞んで　夢の続きがみれたなら
朝はどんなに煌めくでしょう　眩しいくらいの多幸感
リュックのように背負ってる　この日々が重い荷物にならないように　いま一度　考える　ふと立ち止まる　停止線がなくとも　光について　その正体に想いをよせて

　　　　　　　　『特別な一日』
たぶん朝はグリーンサラダ　胡瓜をふんだんに　ゆびついたドレッシング　思わずしゃぶった　誰かにとっての特別な一日　私はまだ寝巻きのままだ

　　　　『遊び足りないぼくらの行き先』
最近はため息も多くって　錆びたガードレールと同化している　蟻たちはせっせと食糧を運ぶ　女王は蜜月を待っている　気の抜けた炭酸はぼくらの行く先を案じているんだろうか　空には雲が行く　雨を誘い出し
できるだけ黒くなろうとしている