『ハゲタカの恋』
荒野の掃除屋　夜を知る　不可解な朝に首を傾げて
昼の獲物に愛しさを覚える　中和されることのないこの想い　打ち上げ花火になればいい　滑空する心
捕らえられるだろうか　ああ、爪はもう鋭さを失って

　　　　　　　　　『青天』
青菜が萎びた朝に　寝坊したことを後悔する　青天はまだ青天のまま　表も裏もない　視界を遮る雲すらなくって　ソーダ水のようにもみえる　

　　　　　　　　『遠くまで』
部屋の片付けをしながら　薄手のカーテンが揺れるのをみている　風の誘いに乗るには大きくなり過ぎた
ふとした時に旅に出られるような　そんな心もちに埃が被る　掃除をするのはいつか旅に出たいから　できるだけ　遠くまで　遠くまで　心だけでもあの風と連れ立って

　　　　　『忘れものとシャワーと』
バスルームの水泡が躍っているよ　それはメルヘンというよりか罪の味を思い出す　今日の私は良くなかったな　心残りそれこそが忘れもの　熱めのシャワーで洗い流せるほど　甘くはなくて　ほろ苦い結末の映画を観ているよう

　　　　　　『WeezerよりWeezer』
蛾になる前の芋虫を愛でよう　弱虫の皮を剥いでも
結局変わらず弱虫だ　茗荷みたいな弱虫だ　『ソ』の音出ないピアノを鳴らそう　苛立ちは夏のせいにしよう　多くの連中にはかまってられない　LEGOより小さな僕だけの世界で