天坂えみる

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6/25/2025, 1:25:25 PM

       『粒子のように』
疲れた日にはさくらんぼを買って帰ろう 食後の小さな楽しみに 雨が上がったね 子どもたちが水たまりの運河を超えていく 洗いたての運動靴をあえて濡らして走ってく お日様のあくびのような光の粒をみたんだよ 君は雑踏の中一人笑顔だった あかるい平日の夕方だ こうして小さな愛をゆっくりと積み重ねていくんだよ

6/23/2025, 9:48:32 PM

        『大人のふり』 
ブリキの社会がひしめいて 大人は歩く 大人のふりして 子どものまねごとにわめき散らす 自分は正しいと譲らない こんな大人が多くては ため息ばかりのジャングルジム いつになっても終生しない いま一度 考えてほしい あなたのふるまいが 未来のある子を傷つけるって

6/21/2025, 2:45:08 PM

        『薔薇の色』
追いつけないと頭で分かっている だけど細胞はそれを否定する 路地裏で息を吐いていたんだ あまりに夢中に走ったせいか 道なかでみた 薔薇の色も思い出せない あまりにせつない もうすぐ夏が来るというのに

6/18/2025, 1:54:09 PM

     『ピーナッツバター症候群』
朝食にはいつも 食パンを8枚切りで買う 隣にはピーナッツバター 落花生のキャラクターがポーズを決める めくるめく甘さの中で 食感に支配される 脳が欲しがっている 舌よりも 喉よりも

6/15/2025, 3:00:03 PM

      『憂鬱インマイルーム』
薄い灯りとマグカップに写る宇宙の中で きっとつまらないであろう明日以降の予定を想像する ひとりぼっちは寝息のたてかたさえ知らないのだ せめて今夜の夢は琥珀色であって欲しいと願いながら 膝をたたんで眠るのだ

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