『極彩色のおもいで』
疲れた夜は　疲れ切った夜は　水面に花を浮かべてさ
呼吸を止めてしまいましょう　どうでもよかったあの日のことが　急に虹色になって瞬いた　吐き気にも似た感覚で　心は三度目の遊園地

　　　　　　　　『正しい記憶』
天井のしみを眺めた　記憶　記憶　散文　備忘録　記録　記録　私の記憶が正しければ、、と　こめかみに指をあてる　涙が出たらば　拭え　拭え　頬染めて　はにかんだなら　笑え　笑え

　　　　　　　　『再放送』
次があるような　また今度でいいような　後回しの連続で　結局再放送すら見逃している　どうやら　形のよいラストシーンも知らないままだ　朝が来て　目玉焼きの黄身に穴あけた　また次があるような

　　　　　　　　『アスパラ』
二人にしか解らない苦みがあって　いずれ舌でとろけてしまう　忘れたころにソレはやってきて　二人はしかめ面で表参道を歩く　雑貨屋で雑多になって　なんだか馬鹿らしくなってしまった　ランチョンマット買って　家に帰ろう

　　　　　『叶わぬ夢、芝生は青』
夜露に濡れた　叶わぬ夢　月が覗いて　芝生は青だ
センターラインは霞んで見えない　いつかどこかに落ち着けるだろうか　根無し草を気取って歩いていたのに　誰かと背を比べるなんて興味なかったはずなのに