天坂えみる

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5/19/2024, 1:15:10 PM

         『惜別』
今にも千切れそうなピアノ線 ていうかこれは私の血管だ 紅い波打ち際 ただの液体になる夢を見た 君にぎゅっと抱きしめられても 白いシャツを汚すだけ
どうせ溶けてしまうなら 野原の上で 微生物の力を借りて 私、立派な花になるから

5/18/2024, 5:22:02 PM

        『ピクシーズ』
窓辺に種子を それが芽吹くとき 私は鞄を新調する
坂道を行くあなた ピクシー達がちょっかいをかける
あなたと私 目があった あってしまった 何を話そう 宇宙規模の議題が 空を破いて私のもとへ 

5/17/2024, 5:29:57 PM

      『真夜中に詩は終わる』
星はどこにいったと 息を切らして 坂の途中の家に帰ろう ベランダ越しにあの子の愚痴を聞く 猫が幾度となく欠伸して 夜がふける 今日は詩みたいな一日だった 日記帳はあるけど つけたことがない
明日の朝の憂鬱を半分薄めて 眠る 眠る もう眠る

5/16/2024, 3:55:34 PM

      『グレートエスケープ』
あの地下鉄がいったら 二人は握手 できるだけ強くしなやかに 思い出が逃げないようにと 唇噛んだ
耳の奥に三文ワルツ 僕らが生まれるずっと前に 同じような約束をした二人がいる

5/14/2024, 11:38:45 AM

     『なんでも風のせいにして』
街並みが砂漠に視える まぼろしだろうなそれは多分
蟻の行進のように人々は歩く マナーという名の星の下 謹直に列は乱さないのだ なんとなく矛盾 顎下にできた吹き出物 ひゅるりと風吹けば ぜんぶぜんぶ風のせい

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