天坂えみる

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5/17/2024, 5:29:57 PM

      『真夜中に詩は終わる』
星はどこにいったと 息を切らして 坂の途中の家に帰ろう ベランダ越しにあの子の愚痴を聞く 猫が幾度となく欠伸して 夜がふける 今日は詩みたいな一日だった 日記帳はあるけど つけたことがない
明日の朝の憂鬱を半分薄めて 眠る 眠る もう眠る

5/16/2024, 3:55:34 PM

      『グレートエスケープ』
あの地下鉄がいったら 二人は握手 できるだけ強くしなやかに 思い出が逃げないようにと 唇噛んだ
耳の奥に三文ワルツ 僕らが生まれるずっと前に 同じような約束をした二人がいる

5/14/2024, 11:38:45 AM

     『なんでも風のせいにして』
街並みが砂漠に視える まぼろしだろうなそれは多分
蟻の行進のように人々は歩く マナーという名の星の下 謹直に列は乱さないのだ なんとなく矛盾 顎下にできた吹き出物 ひゅるりと風吹けば ぜんぶぜんぶ風のせい

5/12/2024, 3:49:36 PM

         『悪童』
悪童たちが行ったみち 綺麗な小石が並んでる その小石の幾つかが シマヘビに向かって投げられた 酷いことをするもんだなと思ったら やっぱごめんと謝った やったことは消えないけれど 何かそれ以上の素敵なことを あの子らはきっと知っている

5/10/2024, 10:15:39 PM

       『モンシロチョウ』
嘘みたいな話しを信じるか否か 燃え上がるキャベツ畑 灰を掬う少女は足底が浮いている(5㌢くらい)
あの日の事は忘れたなんて話す人がいる そもそも何も無かったと朝食のスープを啜っている 記憶はあてにならない 真っ白なキャンバスに刻まれた紋が全てを知っている

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