天坂えみる

Open App
10/6/2023, 5:10:11 PM

         『追憶』
思い出があり余る 幸福は立ち尽くす 足元を下世話が通る それはもうだらだらと 脳は働くこんな時ほどよく働く 過去は過去と言えないほど鮮明 あざやかだけど嫌な思い出 黄ばんだ衣装ケースに大事にしまう 嫌なことでも捨てないようにと 大人の人に言われた気がする 紙飛行機は弧を描く 飛んでいく先は僕の思い出 

10/4/2023, 9:00:52 PM

        『踊る人々』
踊らされるより踊りたい 傀儡反対を掲げて人々が踊り出す 無視できない大きな波だ 岩壁にひびが入る
そのうち地形も変わるだろう パンゲアの嘆き 山河に抱擁を 疲れを知らないハモンドオルガン 貯めた物なんて すぐ無くなる 

10/1/2023, 2:25:28 PM

        『オワコン』

1日は案外長いのに 夕暮れ時にフォーカスしてる
靴擦れを気にして歩く 吊り看板が揺れている
次のトレンドの闇市が始まる 自分らしさが投げ売りされている 個性はもはやアプリケーションの中にある 私の中古のiPadは巷ではオワコンと言われている
愛着があるので さして気にならない 剥がれかけたムーミンのステッカー 薬指で撫でつける

9/30/2023, 10:47:37 AM

       『セプテンバー』
カーテンカーテン ひらひら動く 私はハンケチ被って寝てた 朝陽も夕陽も巻き込んで この部屋は浮き上がる 秋風の車輪 ベッドは乗り物になる さよなら9月にお別れを 季節を越えた巻き髪で 長袖シャツに軽く挨拶

9/29/2023, 11:37:44 PM

      『アンダルシアの月』
静かだ 誰もいないので 当然だけど静かだ 白い部屋パルプフィクションのポスターが貼ってある 私のせめてもの主張 何か派手なことがしたい 四角い窓にまあるい月がぼんやりと 剃刀で切り裂いてやろうか 月の中身がみたくはないか 玉子の黄身が出てくるか はたまた人々の憎悪の塊か 想像は月を一周して 私の静かなアクションは一先ず終わりを告げられた

Next