9/10/2023, 1:19:02 PM
『群像劇』
来た道に置いてきたのは ポケットの中のパン屑だけじゃないはずだ 忘れたことを忘れた頭に虚飾に満ちた驢馬の耳 私はとある舞台のキャストだけれど その舞台には間に合いそうに無い 私の参加しない群像劇は砂埃にまみれて 馬車馬の嘶きとともに何処か彼方に消えてしまった
9/9/2023, 4:43:08 PM
『オンリーワン』
デパートの地下 3割引きのメンチカツが目に入る
卑しく私は鷹の目でそれを狙う ハイエナが何頭かやはりそれを嗅ぎ回っている あくまで笑顔の店員がその状況を俯瞰している 獲物を取り損ねた駄目な鷹
私はデパートの一階でポールスミスの柄シャツを見つめていた 物欲はキリが無い せめて無欲になれればと他愛の無いポップソングを口ずさむ
9/9/2023, 1:56:51 AM
『胸の報せ』
空気を入れ換える 重たい部屋の雰囲気が外にふんわり逃げてった 外の世界では部屋の問題は些細なもので シャボンのように消えてった 一瞬気分が楽になる 心地よい呼吸ができた あの重たさは何だろう
人の不安の集まりか はたまた地球のため息か
9/7/2023, 2:37:15 PM
『振る舞い』
路上と路上がキスをする 汗で煌めく街が眩い 錆びたガードレールの美しさを横目に鳥たちが飛翔するのをみた 朧げな記憶が鮮明になっていく それはまるで踊るように
9/6/2023, 2:03:41 PM
『時計台は笑う』
そっと南を向いて 風は消えそうな蒼だ 年を重ねて煉瓦が朽ちて 鴉がそこに集まって 秘密の会議が毎夜毎に行われる その時間は口が裂けても言えない