『黙秘』
道端で蹲るあの子はもういない　あの子と私は点と点のまま繋がらなかった　物思うまるで海面に浮かぶように　この秘め事は海月の一刺し　烈しく胸が疼いている　感情に薬餌は無い　只、日々に溶かし込んで希薄になるのを待っている　

　　　　　　　　　『カプセル』
東京がカプセルに包まれる　無論、私もその中で呼吸をしながら過ごしている　守られているのか管理されているのか　カプセルのカプセルの中のカプセルで薬効を待っている　焦る時間に何が効く？忘却線は発色してアーチになった　幾多の見物人のスマートフォンに新たなカプセルが保存され消費されていく

　　　　　　　　　『徒恋』
『残念っはずれだよ』って思えたら、あゝ楽になれるのに　山手線２周半、目白あたりであゝ何にもなかった事に　むなしくてむなしくて　考えれば考えるほど
馬鹿らしい馬鹿らしい　馬鹿はあなた？いや私だ。
いやいや恋が馬鹿なんだ　何回目？何周目？痺れを切らした感情線がついぞ私に訴えかける

　　　　　　　　　『正直』
優しい嘘って必要なのかな？　洗面台　抜け落ちたまつ毛　下水道に潜む渾沌　正直言ってさっきの会話はつまらないつまらないのです　私はいかにも退屈という感じでトラフグの顔を模倣してみたのだけど　いまいち相手に伝わってなかったみたい　優しい嘘って必要なのかな？

　　　　　　　　　『崖の上』
スーパーマーケットの駐車場　乱闘騒ぎがあったって
後から聞いた　私は竹輪を片手に何かに追われているわけでもないのに足早になる　乱闘騒ぎ乱闘騒ぎ　ストリートファイターだろうか？　私なら弱パンチで駄目になる　日干しになって崖の上　漫画でよくある天使の輪っかができてしまう