天坂えみる

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4/25/2023, 3:58:41 PM

        『流星を待つ』
流星を待つ 煌々とストーブの灯がゆらめく ここには他に誰もいないよ ひとりぼっちという贅沢だ
紅茶があるよ蜂蜜もあるし、何よりティーカップがお気に入り 紅茶に蜂蜜入れた時 私は他の誰かを思い出す あの人もこの人も元気かなって思ったら 連絡したくなりました。流星はつゆ知らず そそくさと夜空に溶けてった

4/24/2023, 1:57:58 PM

          『白線』
白い線が引かれる ここから先は欲深い方々の垢だらけ 入らない方がいい 見ないに越した事はない 線があったら跨ぎたくなるものだけど 立ち入り禁止と誰かに聞いた ルールだからと誰かに聞いた 特に大きな疑問は浮かばなかった ルールという言葉は強い
多くの人はルールの中の笑い方を知っていた

4/24/2023, 12:57:27 AM

         『心もよう』
ギンガムチェックに焦がれる私は 今日もなんだか落ち着かない 毎日が木曜日みたいな気分 私は私、他人は他人と言い聞かす そのリフレインがまた坩堝
歩き方 喋り方 お決まりのテキスタイル 泣くに泣けない曇天は私の心もようそのものだ

4/22/2023, 11:44:48 PM

       『それは消せない』
哀しみの毛布の中 心だけが泣いている 羽根を広げるのは今じゃない 鶫が私にそう告げた 消しゴムの消しかすばかりが増えてくよ 消えない消えない消えない 消えないじゃなくて消せないんだ そう気づいた朝 鶫は既にいなかった もう春なのにあの子は口を噤んだままだ

4/21/2023, 3:15:36 PM

         『雫の聲』
方舟は水煙の中消えてしまった 貝殻は海を記憶する
幼いあの日、洞窟に隠れて雫の聲を聞いた 等間隔の落水は私の心の安寧だ 時間の存在を忘れて現実と距離を置く 遠くから『おーい』と呼ぶ声がする そう思った瞬間 私は糸巻きのように現実と距離を縮めた
来年は着れないワンピース もうすぐ潮が満ちる

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