『隣の芝生』
隣の芝生が青すぎる 眩しくて呼吸を忘れた5分間
ほのかな走馬燈を見た 倒れ込んだその先は天国によく似た地獄 非情なようでどこか優しい この感覚を忘れられない 止むに止まれぬ隣の芝生の覗き見よ
『好奇心ガール』
栗鼠の冬支度のように知識を溜め込む 膨らんだ頬は
まるで風船 飛んでいけ地球最大の興味の対象のもとへ 知識じゃ君に追いつけない なぜ?どうして?
答えはマルチシナリオだ なぜ?どうして?
胸の高鳴り高気圧 かと思えば低気圧 君を知りたいあたしはいつも 浮き沈みが激しくて 気づけば無人島に不時着してる ああ、今日もか 今日もか
『ほころび』
なんでもない日常は 真綿のようだ 胸がきゅっと締めつけられて 夜の深い場所でただ一人膝を抱えている 世界はまだ終わりません 朝は必ず来るでしょう
優しさが窮屈になったらどこへいけばいい?
海や空が『あなたは大丈夫だから』と言ったら なにを信じればいい? 堤防に立つのは難しくってすぐに脚がよろけてしまうのです
『嘘の無い世界』
愛が綻んで平和は止めどなく流れる 群青色のこの部屋は嘘の無い世界かも知れない 少なくともたった今5分前後は 部屋の壁紙は偽り 触れたら剥がれてしまいそうだ 脆い、なんて脆いんだろう 私はそれを抱きしめよう いいこいいこしてあげよう 空気が澱むその前に この偽りとこの壁を 愛と平和のパテで埋める
『過去形』
夜と霧、古びた日記は未だ血の涙に溺れて過去形になれないでいる 少女と老婆は交錯し、今やどちらかわからない 大抵の事が過ぎ去っている ポプラの木はもう無いし 草原は凛々しさを失った それでも希望を信じる私は過去を噛み締め 暮らしを続ける
ただ静かに静かに 今でも誰か一人を探してる