天坂えみる

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2/9/2023, 4:44:38 PM

      『何でもない日の花束』
蒼白い日々の行列 中間地点で皮を剥ぐ めくれた表皮に未来の斑点 冒険と称して何でもない日に意味を与える 無造作に集められた花達が束になり 今日は記念日と歌い出す 全ての何でもない人々が 生きてて良かったと思えるように

2/8/2023, 3:21:04 PM

        『スマイル』
とっておきのスマイルを朝市で競り落とす 裏表はわからない ただ第一印象は完璧だ どんな人でも悪い気はしないだろう スマイルをさらに競り落とす
裏表はわからない気にしない スマイルの大量の生産だ 利用しよう利用できるうちに そしてあれよという間にスマイルは0円になってしまった

2/7/2023, 9:21:39 PM

      『どこにも書けない詩』
待ち人達は書く 一雫の希望の詩を 餌を求めるひな鳥のようなその詩は承認欲求の海を海月と泳ぐ
どこにも書けない詩もある 顔から火が出るほど恥ずかしいので 冷凍庫の奥に置いてある 捨てればいいのに置いてある 

2/6/2023, 4:19:14 PM

        『針の報せ』
時計の針、5分ごとに噴水の飛沫 寝耳に入る水
夕暮れに染まって 各駅停車 うるめいわしが良い塩梅で焼けている 冗談なら忘れてしまいたい 猿芝居で済ませたい 薄めのウィスキー水割りが 針の報せを聞くようにと僕を促がす。

2/5/2023, 10:56:10 AM

         『溢れる』
完熟のトマト缶 溢れる溢れる
あり地獄に蜘蛛の糸 溢れる溢れる
悲しむ林檎 溢れる溢れる
100m走男子女子 溢れる溢れる
ぼくわたしみなみなみなさん 溢れる溢れる溢れるかえる

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