天坂えみる

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2/4/2023, 10:55:40 AM

         『くちづけ』
例えば溶けかけのチョコレート あまり着ることのない真緑のベルボトム 夏の日差しで劣化してきたパラソル 砂漠の熱砂の下、夕暮れを待つネズミ 全ての孤独を深夜ラジオのDJに委ねた瞬間 触れるだけのくちづけが様々な場面を思い起こさせ その先へまたその先へ。。

2/3/2023, 11:19:36 AM

    『軟体動物は1000年後にほくそ笑む』
恋人だってまわりに自慢したいけれど、現状、恋人未満のあの人と電話で話した日曜日。きっと1000年先の未来は軟体動物の世界になる説で大いに盛り上がる。
生活基盤は海の中、ふにゃふにゃむにむに暮らすのだ。そう考えると私達も時代を先取りしてふにゃふにゃむにむにしたくなり、夢の中海の中、ふたりしてにやにやにかにかとほくそ笑む。

2/3/2023, 12:33:01 AM

        『忘れないよ』
地球が飴玉になって誰かさんの口の中で溶けてしまっても 私は忘れないある朝君が忘れたマフラーを走って届けた時みたいに必死になって思い出すだろう あの頃大好きだった絵本を手にとるようにきっと私は思い出す

2/1/2023, 12:44:27 PM

      『気分は空中ブランコ』
ランチプレートに残ったスリル グレイビーソースでいただきます 張りつめた心が弾けたら僕はどんな顔をしたらよいだろう 思わず飛び散る鮮血をジェリービーンズで誤魔化して ついに僕は作り笑いの天才になる

1/31/2023, 12:00:35 PM

       『旅路の果てに』
旅路の果ては灰色の絵画のようだ 色を塗ってもいいし その雰囲気に浸るのもいい カフェテラスに集まる鴉が脱色のすゝめを講じる 冷めたカフェラテのように草臥れる ストライプのシャツに袖を通して 時間について考える 終わりは必ずやってくる それが
私達に取り決められた約束だから

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