1/18/2023, 11:17:04 AM
『それはもう読まない』
例えばそれはカビの侵食が抽象画に見えるように
記憶の奥に垢がたまって言葉さえ失うように
一見清らか人の包丁を持つ立ち姿の恐ろしさ
草木の生えない大地がまた増える 積み上げられた
日常の記憶の束 きっとそれはもう読まない
1/17/2023, 12:44:58 PM
『風の名前』
真っ白な吐息を連れてくる 風の名前を内緒にしておく 悴んだ手は風の置き手紙だ ベンチに座り独り
空文字でお返しの手がみを書いた 極めて匿名性の高いその手紙は葉っぱと一緒にくるくるまわる 冬のダンスだ くるくる踊る
1/16/2023, 1:20:56 PM
『美しすぎる』
眼に頼り過ぎて 大事な何かが見つからない
言葉が手に余り 失言が独り歩きする
初めの一歩を踏み外し 膝小僧に血が滲む
今日も生きて 思いは募って 手紙にしたらキリが無い みっともなくて涙目が出ちゃう
美しすぎる 美しすぎる
1/15/2023, 11:52:18 AM
『この世界にぶら下がっている』
鳳仙花の呪咀で眠れない ベッドはタガメのように
つぎの獲物を狙う 私は変わらず眠れない 貴方の背中で眠れない この世界にぶら下がるソーセージ
三本焼いて明日の朝食 だけども今は眠れない
朝は来るのか来ないのか この世界で眠れるはずも無い
1/14/2023, 1:20:02 PM
『細胞分裂』
私は知りたい どうして雲が罪を隠すのか
私は知りたい どうして冬のセーターは縮むのか
私は知りたい どうしてめげずに挑戦を重ねるのか
私は知りたい どうして資料が参考にならないのか
私は知りたい どうして傷口に辛子を塗りたぐるのか
好奇心が分裂してしまう またあれが覚醒してしまう