頑張らなきゃって思うのに、
こうにも体が動かないのは何故だろう。
疲れているはずはない。
だって頑張ってないのだから。
ならどうして?と疑問がグルグルする。
そして、
自分が怠惰であるとレッテルを貼る。
#どうすればいいの?
今日は彼女の誕生日だ。普段は恥ずかしくて咲優から誘ってもらうことが多いのだけれど、折角の機会だし、たまにはと思ってデートの誘いをした。
咲優と、絶対に行っておきたい場所があった。彼女が初めて告白してくれた、夜景が綺麗なあの場所。あのときの自分は、まだ恋愛を知らなくて、自分のことで精一杯で彼女を振ってしまったけれど。今はあなたのことが大好きで仕方がない、と伝えたい。
あなたに会えてどれほど良かったか。重たいと思われるかもしれないけれど、自分の想いを伝えたい。僕からの、絶対振られない告白。
なんだか足が震えてきた、振られないのに。自分の想いを伝えるのは、こんなにも緊張するものなのか、と思う。それでもいい。大切な彼女をもっと大切にしたいから。誰にも見られないように、手のひらに「人」を書いて飲み込んだ。
#宝物
あなたと友だちになってから早1年が経とうとしています。
色んなところに行って、
色んなことを駄弁って、
色んなことを沢山してきたのに、
それでもまだまだ足りません。
最近は恋愛が大変で、あなたとあまり一緒に居られていないですね。
けれど、だからといってあなたが大切な存在でなくなった訳では無いです。
もっと色んなところに行きたいです。
もっと色んなことを駄弁りたいです。
もっと色んなことをしたいです。
わたしの人生を、あなたに注ぎたいです。
これからもわたしの親友でいてくれますか? 大好きだよ。
#たくさんの思い出
「律樹、もう帰るの?」
彼氏がそそくさと帰ろうとしたから、引き止める。クリスマスにすぐ帰宅だなんて、夢がないにもほどがあるよ。
「え、どっか行きたい? なら行くけど」
わたしの彼氏は、Top of the 受け身。わたしも別に肉食ではないけれど、律樹が受け身すぎて、誘いまくる他ない。
「どっか行きたいというか……まあ、駅前のイルミネーションでも見に行こ。折角のクリスマスだし」
そう言ってわたしは彼の手を引いた。手を繋ぐのは相変わらず恥ずかしい。でもわたしから繋ぎにいかないと繋いでくれないから。そう暗示をかけて手を掴む。
「クリスマスだからって……咲優が言うならたまにはいいか」
律樹はそう言って微笑んだ。んもう、恥ずかしいのか好きじゃないのか何も知らないのか。そっちからも誘ってくれてくれていいのになあ。
それが去年のクリスマスの出来事。今年はどうだろうか。わたしの必死の教えのお陰で、たまに向こうから誘ってくれるようになった。けれど、それはわたしが「行きたいな」という雰囲気を10回以上醸し出してのこと。クリスマス、一応予定は空けているけれど、誘いが来なければ独りだな。
と、1件のLINEが来た。
「クリスマス空いてる? もしそうなら行きたいとこがある」
心臓が吹っ飛びそうだ。
#冬になったら
「転校しても、ずっと友だちだからね」
毎日のように一緒に登下校し、毎日のように放課後一緒に遊び、毎日のように大好きだった。
ずっと友だち、ね。親友くらいにはなれていたと思っていたのに、僕だけだったのだなと泣いてしまったのを覚えている。
にしても、彼女がどこに行ってしまったのか知らないし、知る由もないし、知る気もない。過去の人間関係に囚われずに、前に進もうと決意したから。だというのに。
「久しぶりだねっ」
彼女は突然目の前に現れてそう言った。
「ねねね、昔みたいにどっか行こうよ」
「特にここら辺行って楽しい所ないよ」
「いーの! 君と遊べるだけで楽しいんだから」
後ろ髪を引かれる思いになった。前に進もう進もうとしているのに、彼女は僕を過去へと引っ張る。どうして、と思う間もなく、彼女は僕の手を引いて歩き出そうとする。
「この街も随分かわ……」
思わず彼女の手を振り払ってしまった。折角割り切った思いを、思い出したくなかった。
「なん……で? 友だちだったじゃん」
本当に友だちだったのかね。もう僕は知らない。
「バイバイ」
じゃあね、ではなく、バイバイ。二度と会いたくないということだ。彼女にもう会うことはないから、僕はまたちゃんと前を向けるようになるのだ。
#はなればなれ