わたし、秋って好きじゃない。微妙に暑いし寒いし、すぐに体がやられちゃう。夏だったら暑いねって一緒にアイス食べられて、冬だったら寒いねって一緒に肉まんを食べられる。秋ってそういうのないじゃん。
でもね、秋は晴れが多いから空綺麗だねって上見られて、ついでにあなたの顔を見られるから、大好きなんだ。
#秋晴れ
未だに覚えてる。確かあれは、高2の10月のこと。
同性の友だちに告白された。LGBTQとか、そういう言葉が少し流行っていたころだったけれども、自分の身にそういうことか起こるなんて、微塵にも思っていなかった。
あの人と付き合うなんて想像できなかった。恋愛対象として見ようとするだけで少し頭がクラクラした。そういう目で見られていたのかと思うと、頭痛がした。結局、性別の壁はなんと大きいことだろうとしか、感じることができなかった。
頑張ったら好きになれたのか? 頑張った好きは迷惑じゃないか? けど好きになれないのも迷惑か?
一晩中そんなことを考えた。悩んでも答えは出なかった。初めて、夜眠ることができなかった。
新聞配達の音がすると同時に気づいた。もうこの気持ちごと伝えるべきだと。
付き合うとかそういうことは考えられないけれど、あなたの勇気は受け止めたい。
それだけでもあの人が救われるかもしれないと、そう願った。
神は口角を下げたようだった。あの人とはもう話せなかった。死んでしまった、とかそういうベタな展開ではなく、ただただ話すのを拒否されたということ。昨日のことが嘘のように、今までの人間関係が嘘のように、あの人と話す許可を得ることが出来なかった。
何を思ったのだろうか、とそれから1週間学校に行けなかった。その間にあの人を好きになってしまったのかもしれない。転校する。そのことを聞いて生きる気が失せた。
きっと、告白はあの人なりの別れの挨拶だったのだろう。もう卒業だから告白する、みたいなのと同じような感じ。そして、こちらからの引き止めを必要としていない挨拶。未練を無くして去るために。
その所為で自分は、ずっと叶わぬ片想いをしているのだけれど。
#忘れたくても忘れられない
高校生。大人だか子供だかわからないこの時期。けれど、多くの高校生が自分は大人であると信じて行動する。少なくとも周りよりかは大人であると。
しかしながらそういうことはなくて、大人な面があったとしてもどこかに子供の面がある。自分の子供の面に気がつけないのが非常に高校生っぽくて、可愛らしい。
#子供のように
ニコニコ笑っていなければならない。その場を楽しんでいなければならない。
そんな風に無理矢理にテンションを上げるから。
カタコトの笑顔しか作れなくなる。
#ココロオドル
たまにの休日。束縛からの解放。友人との約束。
僕の彼女は束縛が激しい。ちょっとやそっとの飲み会さえも許してくれない彼女に、僕は少しイライラしていた。無論それだけで彼女を嫌いになることはないのだけれど、なんだかストレスが溜まっていたようだ。久しぶりに高校時代の友人と食事に行って、それを実感する。
「それ犯罪レベルだろ」
友人は、僕と彼女の関係性を冷静に分析した。
「かなり束縛してくるなとは思ってるけど、僕じゃないと彼女支える人いないだろうし」
「沼ってんなぁ、程々にしとけよ」
心配してくれているのは分かるけれど、僕は壊れそうだけれど、それよりも彼女を大事にしなければいけないという使命感に襲われるのだ。
「ったく、別にお前がいいならいいけどさ、休憩はちゃんと取れよ。お前が倒れて彼女倒れたら、気が気でならんから」
友人との時間は一瞬であった。彼女と過ごす10分間よりも、友人と過ごす1時間の方が短かった。もっと彼といたいけれど、やはり迷惑な気がしてたまらない。
「ただいま」「おかえり、ねぇなんでそんなに長かったの?」
反射で出そうになった言葉をぐっと抑える。そして、代わりの言葉を添える。
「君の話をしすぎたんだよ」
自慢ではなく相談でもなく、愚痴だけれども。
「えー嬉しい。ねね、そういえばわたしの好きなところ最近聞いてないな、教えてよ」
「……」
またしんどい日々が始まる。
#束の間の休息