飛花

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未だに覚えてる。確かあれは、高2の10月のこと。
同性の友だちに告白された。LGBTQとか、そういう言葉が少し流行っていたころだったけれども、自分の身にそういうことか起こるなんて、微塵にも思っていなかった。
あの人と付き合うなんて想像できなかった。恋愛対象として見ようとするだけで少し頭がクラクラした。そういう目で見られていたのかと思うと、頭痛がした。結局、性別の壁はなんと大きいことだろうとしか、感じることができなかった。
頑張ったら好きになれたのか? 頑張った好きは迷惑じゃないか? けど好きになれないのも迷惑か?
一晩中そんなことを考えた。悩んでも答えは出なかった。初めて、夜眠ることができなかった。
新聞配達の音がすると同時に気づいた。もうこの気持ちごと伝えるべきだと。
付き合うとかそういうことは考えられないけれど、あなたの勇気は受け止めたい。
それだけでもあの人が救われるかもしれないと、そう願った。
神は口角を下げたようだった。あの人とはもう話せなかった。死んでしまった、とかそういうベタな展開ではなく、ただただ話すのを拒否されたということ。昨日のことが嘘のように、今までの人間関係が嘘のように、あの人と話す許可を得ることが出来なかった。
何を思ったのだろうか、とそれから1週間学校に行けなかった。その間にあの人を好きになってしまったのかもしれない。転校する。そのことを聞いて生きる気が失せた。
きっと、告白はあの人なりの別れの挨拶だったのだろう。もう卒業だから告白する、みたいなのと同じような感じ。そして、こちらからの引き止めを必要としていない挨拶。未練を無くして去るために。
その所為で自分は、ずっと叶わぬ片想いをしているのだけれど。





#忘れたくても忘れられない

10/17/2023, 3:24:43 PM