ねえ、これつけてみて。
指輪かい。
そう、ゆびわ。あなたにぴったりかなと思って。
はは。
こういうのは男の俺が渡すものじゃないかい。
いいの。今は女から渡すものなの。もう、勿体ぶらないではやくつけてよ。
はいはい。ほらつけたよ。うん、ぴったりだ。
当然よ。それにみて、私とのペアリングなのよ。
こうして2人でつけてると本当の夫婦みたいね。
あらどうしたの。そんなに真っ青な顔をして。
いや、嬉しいよ。ただ名前が違うから。
知ってる人でしょ。
まさか。
だってあなた逃げるじゃない。
他に女がいたの、知ってたわ。
わたし貴方のために頑張ったのよ。
指輪に刻まれた名前は違うけれど、関係ないものね。
やめろ。来るな。
安心して。私は貴方のことを一生を誓って愛すわ。
ずっと一緒よ。
ずっと。
キャンドル
想い出
宝物
どうすればいいの?
「どれにしますか」
誰かに話しかけられたようで、重いまぶたを開けると紳士がいた。
知らない場所だった。店内は紳士と私しかいない。辺りはしんとしていて、広さも六畳くらいとそんなに広くはなさそうだった。アンティーク調の机の上にはずらりと火のついたキャンドルが並べられている。
きっとアロマ系のお店なのだろう。しかし私がなぜここにいるのかが分からなかった。
「すみません。ここは何のお店なのでしょうか」
と私は聞いてみた。
しかし目の前の紳士は私の疑問に答える気はないようで、
「どれにしますか」と返すだけだった。
どうしたらいいものか。正直をいえば、早くこの場所から逃げ出したかった。紳士は私を見つめたまま表情を変えないし、部屋は薄暗い。なによりキャンドルが何時までたっても消える気配がないのがなにより不気味だった。
もう紳士の要望に答えるしかないようだ。
「どれにしますか」
「じゃあこれにします」
適当に目の前のキャンドルを指差す。
「では火を消してください」
紳士ははじめて違う言葉を口にする。
私が選んだキャンドルの隣には既に火が消えたキャンドルがあった。私の前にもお客さんがいたのだろうか。何故か消してはいけないような気がしてならない。だから私は不安の気持ちを拭うように質問をした。
「火を消したらどうなりますか」
「では火を消してください」
また紳士は同じ言葉を繰り返す。
「火を消したらどうなりますか」
「では火を消してください」
「火を消したらどうなりますか」
「では火を消してください」
…
もう堪らなかった。一刻も早くここから出たい。
一刻もはやく。
だから私は
ふっ
キャンドルの火が消える。
その瞬間私の体が軽くなったような気がした。
手足はある。
心臓も動いている。
だが何かが足りない。
その何かが思い出せない。
「どれにしますか」
紳士は私に投げかけた。
目の前にはずらりと並べれたキャンドルが悠々と燃えていた。
恋人になって最初の冬。あなたは遠慮がちに私の手を触れてきた。
最初は指先から。そして徐々に交差するように指を絡めてくる。それはあまりにもゆっくりで、私はなんだか堪らなくなって思いきり彼の手を握った。
彼は一瞬驚いたが、とたんに眉を下げ、
「ごめんね」
と申し訳なさそうに微笑んだ。
謝ってほしい訳じゃない。
彼は優しい人だ。だけど雪のように溶けてしまいそうな程繊細な人でもあった。
だからこうして彼のほうから手を繋ごうとしてくれたのが嬉しかった。
「暖かいですね。」
彼の手を握ったままそう返す。
彼は困惑したのか、私を見つめたまま動かなかった。
「貴方から握ろうとしてくれたの、嬉しかったで
す。だから謝らないで。これからまた挑戦していけばいいんですよ」
「また、ね」
彼はそう呟く。なんだか嬉しそうだった。
「そうだね。またあるよね。」
「そうですよ。年中無休24時間いつでもお待ちしております。」
「それは頼もしいや」
彼の温もりが手のひらから伝わる。あたたかい。冬だからこそ、より感じられる。
「また来年も手を握ってくれますか」
「もちろん。君が許す限りずっと。ずっとだよ。」
これ以上の言葉は要らなかった。
返事の代わりに強く握った。
そして彼は嬉しそうに微笑む。
私の唇が彼に奪われたのはそれから数秒後のことだった。
冬はまだはじまったばかり。
その辺の葉をお湯に入れて飲もうと考えた先人達。
今は簡単に手にはいるけど、昔は紅茶を巡って戦争なんか起きたりしちゃって。
紅茶て凄いんだなて思いました。まる。
まだ妹が生まれてない頃。
私と母と父の三人で車に乗って、ドライブに出掛ける夢。
夢だから場面がすぐに切り替わって、車に乗り込んだ瞬間にはもう、目的地に到着していた。
目的地といっても、本当にそこに行きたかったのか分からない。誰も喋らないし、私達以外誰もいない。
私達は既に車から出ていた。
私達は山頂にいるようだった。 柵のない駐車場から下を覗けば、辺り一面雲に覆われていたからだった。
駐車場から反対方向に緑色の鉄骨製の橋みたいなものがあって、私達はその場所へと進む。
その橋は車が1台分走れそうな広さだった。どうや
ら作りかけのようで、橋は途中で途切れていた。
そして私はその場でしゃがみこみ、橋から下を覗く。
そこで目が覚めた。
不思議なことが、2つ。
○小さい頃にみた夢で何故かこれだけ鮮明に覚えてる。(10年以上前)
○途中から4人になる。(自分が幼い私をみてるような感じ。)
所詮子供の頃の夢だから何にもないけどね。