「月に願いを」
昔、夜になれば月明かり以外なにもなかった頃、
人々が月に注目したのは考えるまでもなく至極当然な事だと思う。I love you の意訳に月が出てきたり、かぐや姫が月に帰っていったりと、特別な存在の象徴のようなイメージで今でも月が使われる。
月は恒星ではない。
太陽の光を反射して輝いている。
太陽の存在無くして光ることは無い、というのはある意味事実だが、朝と夜という対比として太陽とは違う光を放っている。
「降り止まない雨」
精神がズタボロになったとき、
土砂降りの雨の中に傘も持たずに歩きたくなる。
髪や肩を、大量の雨粒に殴られる感覚。
普段なら少し濡れるだけでも不快なのに、その時は心地良さすらあった。体が心と同じ状態になりたがっているのかもしれない。
ドラマみたいに心情を察した人が傘を差してくれることもない。家に帰ってタオルを差し出してくれる人もいない。
雨は人の表向きの皮を剥がしていく。
「あの頃の私へ」
辛かった。しんどかった。
未来に希望なんてなかった。
この道を選べば良くなるとか成長出来るとか全く考えてなかった。というか考える余裕もなかった。
この道しかなかった。
自分が自分でいられると思ったのは。
夜中に何度も外に出てグルグル考えた。自分に言い聞かせてただけかもしれない。
これ以上自分に失望したくなかった。
小さい頃に想像していたようなかっこいい姿なんてなかった。みっともないし、どこまでもダサい。
それでも誰かのせいにしたり、ヤケになることもなく、ギリギリ自分を保つことができた。よく頑張ってるよ。
あの時の選択が正解だったかはまだ分からない。
でも不正解ではない。消去法の人生だけど、考え抜いて選択肢を消してきたから後悔はない。
まだこの道は途中だ。胸を張ってこの道が正解だったといえるようになる頃には、きっとあの頃の醜い自分も少しはマシに思えるかな。
「逃れられない」
勉強から、仕事から、好きなあの人から、顔も見たくない奴から、、、
きっと1つも当てはまらない人なんていないだろう。
大抵の場合、一時的に逃げることは出来ても遠くない未来にしわ寄せがいく。そして遅かれ早かれ嫌でも向き合わなければならない瞬間がくる。
現実を否定するのも、未来に理想を抱くのも自由だが、ありのままの今を受け入れてあげよう。
些細なことで人生は転んでいく。
「また明日」
「また明日」
確かそう言って別れた。今となっては曖昧だが、思えば軽率すぎる言葉をかけ続けた。
次にその友人と会ったのは通夜だった。これが彼なのかと思うほど見違えた姿で。自分が今どの感情でいるのか全く分からなかった。悲しいのか、怒っているのか、悔しいのか。ただ一つだけ、声も涙も出なかった。
彼はすっかり変わり果ててしまった。何を言っても目の前の石から返事はこない。なのに不思議と彼と遊んでいる時のような気分になる。変わらないものなんて無いんだろう。それが自分の望む変化であってもそうでなくても。だから自戒も兼ねて敢えて最後に石に言う。
またあした。。