縁側で昼寝をしていたら、懐かしい夢を見た
君と山の裏に作った、オンボロの秘密基地や
親に内緒で二人で頬張った秘密のパピコ…
そんな短く長い夏休みの思い出
窓辺に飾った風鈴の鳴る音を聞いていたら
なんだか昨日の事のように思えてくる
「懐かしいなぁ……」
僕の楽しい思い出達には、すべて君が居た
宝石のようにキラキラと無邪気な笑みを浮かべる君が
少し羨ましかったのかもしれない、少し家が裕福なだけで
何もかも不完全な僕を友達にしてくれる君が
僕は大好きだった。
「…………だった…って、今は違うの?」
「あれ、声に出てた?ごめんごめん」
部屋の奥から、君が一口大のスイカを二つ持ってきて
縁側に腰を下ろした
「どこまで声に出てた?」
「うーん、僕の楽しい〜からかなぁ……」
「わぁ、結構聞かれてた…恥ずかし」
縁側には風鈴の音だけが木霊して君は何も話さず隣に居る
たまにはこんな日もいいな、なんて青空に惚けていたら
僕の顔を見つめて、君は少し悲しげに呟いた
「…今の僕は嫌い?」
「むしろ好き」
「……即答じゃん、安心したよ……あと、
全然…不完成じゃないからね!」
顔を逸らしてスイカを静かに食べ始める君に
少しだけキュンとしてしまったのは内緒だ
親友にときめくなんて、おかしいことなのだから
やっぱり僕は不完全……どこかおかしいのかもしれないな
そんな些細なことを思いながら、
僕はスイカの種を庭に飛ばすのだった
お題「不完全な僕」
なんかよく分かんなくなっちゃった( ´・ω・`)
「ねぇ、なんでそんなもの飾ってるの?」
そう言って、僕はガラスケースの中の
古くて薄汚い香水瓶を指さした。
幼なじみの彼の家は、どちらかと言うと裕福な家庭で
家も新品同然にぴかぴかと輝いている
何より綺麗好きな彼の家で、香水瓶は周りから浮いていた
新しいものを買えばいいのに、なんて思っていると
「付けてみる?目を閉じててね」
と、彼は僕に微笑みかけて、ガラスケースの中から
香水瓶を優しく取り出した
「わ、わかった!付けてみる!!」
そう返事をして目を閉じる、一体どんな香りの
香水なのだろうか…と、内心緊張をしながら
シュッと吹きかけられたその匂いは、覚えがあった。
「………あれ?これって…」
思わず目を開けると、彼は悪戯げに笑っていた
「昔プレゼントしてくれたよね、思い出した?」
顔が熱くなっていくのを感じる
ずぅっと昔に、少ない小遣いを貯めて一生懸命悩んで
僕がプレゼントした爽やかな香水の香りだった。
「一番の親友からもらったプレゼントだ、
飾るに決まってるでしょ?」
お題【香水】