「ねぇ、なんでそんなもの飾ってるの?」
そう言って、僕はガラスケースの中の
古くて薄汚い香水瓶を指さした。
幼なじみの彼の家は、どちらかと言うと裕福な家庭で
家も新品同然にぴかぴかと輝いている
何より綺麗好きな彼の家で、香水瓶は周りから浮いていた
新しいものを買えばいいのに、なんて思っていると
「付けてみる?目を閉じててね」
と、彼は僕に微笑みかけて、ガラスケースの中から
香水瓶を優しく取り出した
「わ、わかった!付けてみる!!」
そう返事をして目を閉じる、一体どんな香りの
香水なのだろうか…と、内心緊張をしながら
シュッと吹きかけられたその匂いは、覚えがあった。
「………あれ?これって…」
思わず目を開けると、彼は悪戯げに笑っていた
「昔プレゼントしてくれたよね、思い出した?」
顔が熱くなっていくのを感じる
ずぅっと昔に、少ない小遣いを貯めて一生懸命悩んで
僕がプレゼントした爽やかな香水の香りだった。
「一番の親友からもらったプレゼントだ、
飾るに決まってるでしょ?」
お題【香水】
8/31/2024, 2:20:28 AM