「カーテン」
カーテンをめくり、窓を開けるたび私は思う。
平和だなぁと。きれいな空気が、入ってきて部屋の中が一気に爽やかになる。草や土など、新鮮な空気が私は好きだ。
「涙の理由」
一筋の涙が頬をつたった。
あぁ、やっと泣くことができたと安堵する。
私は大切な人を失い、ずっと苦しかった。
暗闇を歩いているような、何をしても楽しくなく、世界が灰色に見える。涙もでない。自分の感情がどこかにいってしまったように感じていた。
日が立つにつれ、彼女への思いが強くなった。
もう、会えないなんて。彼女以上に大切な人はこの先できないだろうと思った。
そう思ったら、一筋の涙が頬をつたった。
失って、こんなにも彼女のことを大切に思っていたことに気づいた。側にいる時はずっと気づかなかったのに。もっともっと彼女との時間を作ればよかった。あぁ、これが恋だったのか。そう気づいた時、私は涙が溢れだした。
「ココロオドル」
いよいよまちに待ったこの日。私は鏡を見ながらめいいっぱいおしゃれをする。鏡の中の私は微笑んでいる、とても楽しみだ。
何故なら、私と心美は、高校生の時の同級生で、今日は久しぶりに会う約束をしているからだ。
私は、この日をずっと待っていた。大学生になって学校が別々になり、会う機会が減ったため、私は毎日心美に会いたいと思いながら過ごしていた。
「ついに今日会える!服は何を着ようかな〜、心美に選んでもらった服にしよっかな♫」私は一人で呟き、心が踊っているのがわかる。
大学生になってから、彼氏もできたが、頭の片隅で心美のことが離れない。彼氏と出かけていても、「心美もここのお店好きそう!」とか、「心美なら、こうしてくれるだろうな、」とか、「心美のLINEまだかな」と考えてしまうほどだ。彼氏とのデートは、緊張の方が多く、むしろ億劫に感じてしまうことがある。
心美といる時は、彼氏のことなんか少しも考えないのに。心美といる時間はとても心地良い。そして、楽しくて大好きだ。私は、心美のことを考えるといつも心が踊っている。恋じゃないかと思うが、もう何かわからない。恋人とか、親友とか、家族とかそんな名前はつけられない。
心美とずっと一緒にいたい、会いたい、私はそう思っている。私は心美を愛している。心美もきっと私を愛していると思っていた。何故なら、彼女も「愛している」と言ったからだ。彼女が、「私達の関係は友達や恋人では無く家族のような大切な存在、私と心美の関係ね、私と心美の関係と言う名前をつけるの」と言った。
しかし、待ち合わせの場所になっても心美は来なかった。連絡をするが、既読が着かない。
あれから、1週間、2週間が経過した。こんなことは、初めてだ。
病気になったのかもしれない、事故かもしれない、何か大変なことが起こったのかもしれない。私はとてもとても心配になった。でも、反対に私のことが嫌いになったのではないかとも思った。
心躍る幸せな日々が過ぎ去ってしまった。
心美が失踪してから、3年間が経過した。
私は今もずっと心美を探している。いつか、見つかると信じて。心躍る日々をまた2人で過ごしたいと今は思うばかりだ。
「束の間の休息」
ジャージャー。キュッキュキュッキュ、ガシャン。
台所から、母が洗い物をする音が聞こえる。
私は、仕事からヘトヘトになって帰って来て、家族で夕食を食べ、紅茶とクッキーを食べながら本を読んでいる最中だ。
ピコピコ、ピコピコ、トュルルル〜♫
隣で父親がゲームをしている。これも日課だ。
ガチャガチャ、ガチャガチャ、ガタン!ペタペタペタ、、
何やら弟がおもちゃを探して、落としたらしい。
誰一人と話していないのに、この空間はとても騒がしい。だけど、私はこの空間で読書をするのが大好きだ。見なくても、音だけで家族が何をしているか伝わる空間。
毎日毎日仕事が大変で、辛いことも多いけど、帰って家族がいることのありがたみを感じる。
夕飯を食べた後、家族がいる中で大好きな紅茶とクッキーを食べ、本を読んでる時間が私にとって最高の束の間の休息だ。しばらくすると、それぞれが歯を磨き寝る準備を始める。そして、部屋へと戻る。
家族が寝に行くと、私も自分の部屋へと戻る。
最高の束の間の休息を終え、私は明日も頑張れる。
「力を込めて」
私は仕事を辞めた。
小学生の頃から憧れていた職だったのに。
ずっとずっと後悔の渦にいた。
だけど、今、採用のメールが届いた。
私は力を込めて、手にしたスマホを握りしめた。
涙がぽつぽつと溢れ出る。嬉しさと不安で自分の感情が分からない。
でも、それでも、やっぱりもう一度頑張りたいと思った。反対に、挫折するかもしれない。前よりもっと嫌な職場かもしれない。人間関係も良くないかもしれない。
だけど、私は強く強く思った。やっぱりあの仕事が好きだったと。だから、もう一度頑張りたいと。覚悟を決めた。頑張れますようにと、憧れの自分に慣れますようにと力を込めて願った。