12日目
起床
出勤
仕事
帰宅
あぁこの部屋こそが僕の逃げ場だ、唯一の居場所だ
別に外が嫌いなわけではない
かといって好きなわけでもない
賞賛されることもあれば叱責されることもある
僕は賞賛など要らなかった
その代わり叱責などされたくなかった
刺激のない部屋でただ漫然と過ごしたかった
この狭い世界で生きていければそれだけでよかったのに
11日目
「ごめんね」ってある種の免罪符だ
微々たるミスは許される気がする
言われた側は思いに関わらず基本的に
「大丈夫だよ」と言うことが強いられる
下手に出た相手を責めるのは困難だ
贖罪の気持ちを踏みにじるのは気が悪い
では許せない時はどうすればいいのだろう
「ごめんね」には悪意がないからタチが悪い
10日目
「星に願いを」だなんて傲慢すぎじゃないか
君は宇宙に星がどれくらいあるか知ってるかい?
数億個とも数兆個とも言われているんだよ
星に願いをって言ったら全ての星に願ってるわけで
それに値するくらい大層重大な願いなはずで
それを願うだなんて傲慢すぎると思うんだ
あるいは無数にある星の一つ一つに願うとして
それは沢山の願いを叶えてもらおうとしてるわけで
そんな膨大な数の願いをするだなんて傲慢だと思うんだ
だからこそ僕は唯一つの月に唯一つの願いを
━━━━━━━━━━━━━━━君を幸せに
9日目
止まない雨は無いと誰かが言った
確かに雨が降ってもいつかは晴れる
雨によって地面が固まるかもしれないし
雨上がりに虹が見えるかもしれない
辛いことにもいつかは終わりが来る
いずれ幸せになれる
...本当にそうだろうか
この生という雨は降り続いたままだ
8日目
白、それは清廉だ、純粋だ
何にも染まっていない
しかし何にでも染まる余地がある
何かに染まってしまう可能性がある
染まる、それは経験を重ねるということだ
多少染まったとしても本質は変わらない
名前は変わっても白は白だ
対して透明は孤高だ、孤独だ
何にも染まることが許されない
何とも分かち合えない
染まってもクリアではあるかもしれない
しかし澄み切ってはいない
色がついた瞬間に崩れてしまう
それでも僕は透明でありたい