10日目
「星に願いを」だなんて傲慢すぎじゃないか
君は宇宙に星がどれくらいあるか知ってるかい?
数億個とも数兆個とも言われているんだよ
星に願いをって言ったら全ての星に願ってるわけで
それに値するくらい大層重大な願いなはずで
それを願うだなんて傲慢すぎると思うんだ
あるいは無数にある星の一つ一つに願うとして
それは沢山の願いを叶えてもらおうとしてるわけで
そんな膨大な数の願いをするだなんて傲慢だと思うんだ
だからこそ僕は唯一つの月に唯一つの願いを
━━━━━━━━━━━━━━━君を幸せに
9日目
止まない雨は無いと誰かが言った
確かに雨が降ってもいつかは晴れる
雨によって地面が固まるかもしれないし
雨上がりに虹が見えるかもしれない
辛いことにもいつかは終わりが来る
いずれ幸せになれる
...本当にそうだろうか
この生という雨は降り続いたままだ
8日目
白、それは清廉だ、純粋だ
何にも染まっていない
しかし何にでも染まる余地がある
何かに染まってしまう可能性がある
染まる、それは経験を重ねるということだ
多少染まったとしても本質は変わらない
名前は変わっても白は白だ
対して透明は孤高だ、孤独だ
何にも染まることが許されない
何とも分かち合えない
染まってもクリアではあるかもしれない
しかし澄み切ってはいない
色がついた瞬間に崩れてしまう
それでも僕は透明でありたい
7日目
静寂の自室
僕が僕になれる時間
何時だって、昼だって僕は「僕」だ
でもそれは本当の僕ではない
仮面を被って着飾って
平気なフリして笑っている
そうして「僕」は僕がわからなくなる
自室に帰ると涙が込み上げる
泣いているのは僕だろうか「僕」だろうか
真夜中の冷たさに、静寂に溺れたい
6日目
愛していればなんでも出来ると思っていた
何にでもなれる気がしていた
愛には見返りがない
いや、見返りを求めないのが愛と言うべきか
それでも追いかけるのは楽しかった
愛する気持ちだけを持って
純粋に、一途に、真っ直ぐ追いかけた
そうして辿り着いたのは荒野だった
あんなに愛していたはずなのに
手に入れてみればちっぽけで
これ以上愛せるかわからなくなっていた
手に入らないからこそ美しい
自分のものにならないからこそ愛せるのだ
だから愛があれば何でもできるし何も手に入らない