”好きな本“
10代の頃はサスペンスものが好きで
お小遣いを貯めては単行本を買い
まるで自分が探偵にでもなったかの
ように、夢中になって推理していた
20代になり私は次第に恋愛小説に
はまっていった
まるで自分が主人公のヒロインに
なったかのように
非現実的な恋愛に憧れた
30代になり私はエッセイにはまった
いろんな分野の人達の体験や
思いに興味が湧き
笑ったり、泣いたりしながら読んだ
40代には癒し系の本を
手に取るようになっていた
自分がどう生きるべきか
自分がどうしたいのかが
わからなくなってつまずいた時に
誰かに
“大丈夫!あなたはあなたのままで良い”
と言ってほしいかのように
読み続けていた
そして50歳になって
私はどんな本を手に取るのだろう?
今まで私に寄り添ってきてくれた
大切な私の大好きな本の
背表紙を思い出しながら
また新しい本に出会う為に
今日も本屋さんに立ち寄ってみよう
“街”
この街に住んで何年になるだろう
逃げるようにこの街にやってきた
山奥の小さな村で生まれ
小さい時は何不住なく生活をして
いつからか、私は不住を感じるようになり
山奥の小さな村を
いつしか出る事しか考えていなかった
そして学校入学を期に別の町に住んだ
ただその時は、まだ人の優しさが
どれだけありがたい事かが
わからない馬鹿者だった
私は就職を期にこの街にやってきた
生活の不便はないが
隣の住民も知らない
他人のプライベートに関わらないこの街
この冷たい大きな街で
果たして自分の事を
知ってくれている人は
何人いるんだろう
自分を気にかけてくれる人は
いるのだろうか?
やっと気付いた!
どれだけ人の優しさがありがたいか
どれだけ人の温もりが恋しいか
忙しいだけのこの街から
あの温かな村に
いつか帰れるように
心の準備を整えよう!
“朝日の温もり”
ウグイスの鳴き声で目が覚めた
窓から差し込む朝日が
眩しく感じる
いつもと変わらない日常を
毎日ゆっくり歩いて行く
昔は平凡な日常が嫌で
無理をしながら頑張って
行きたくもない食事に付き合って
笑えない会話で笑って
毎日駆け足で過ごしていた
いつからか、疲れ切って
走れなくなった私は脚を止めた
走る事をやめてみた
そしたら、気付いた事がある
いつもの変わらない日常が
どれだけ幸せだったのか
ゆっくり歩いて前に進む事が
どれだけ楽しい事かを
だから、私はゆっくり歩いていく
朝日の温もりを感じながら
きちんと周りを見て
今日もゆっくり前に進む
”世界の終わりに君と“
さあ!世界が終わるとしたら
君は僕と何がしたい?
オシャレなレストランで
美味しい食事をする?
夜の海で一緒に花火をする?
友達全員に会いにいく?
君は何を望むかな?
もちろん、僕が一緒にいる体で
僕が望む事は何だろう?
僕は世界の終わりに君と
笑顔で楽しくおしゃべりをしてたいな…
ナンテネ
ただ、遠くから君を見ているだけの
僕のちっぽけな望み
いつか君が僕に振り向いて
くれるように
いい男になってやる!
“誰にも言えない秘密”
大人になるにつれ
一つまた一つと
秘密が増えていく気がする
大した秘密ではないけれど
人には言えない事
なぜだろう?
別に大した人間でもなく
秘密にする事でもなく
誰かに話しても
きっと笑い話ですむ話し
だけど誰にも言えない秘密が
一つだけある
家族にも言えない秘密
私には昔
結婚を約束した人がいた事
二度と会えない人
その人を今でも愛している事
私の初恋
毎年一年に一回
誰にも知られずに
お花と貴方が大好きだった
赤ワインを持って
おしゃべりに行く事
誰も知らない貴方と私の
デートの時間
この気持ちは
誰にも言えない私だけの秘密
貴方がくれた指輪をはめて
きょうも一年に一度の
デートに行く