『鏡の中の自分』
そこに映るものは何?
笑った自分?
怒った自分?
泣いている自分?
それはそのままを映してくれる
でも、それは本当にそうだろうか?
それは何を見せてくれる?
反射する現実の姿?
反転した世界?
重なり合った別の世界?
それは現実とは少し違ったものを見せてくれる
でも、それは本当にそうだろうか?
それはどこに繋がっている?
自分の心?
誰かの心?
誰かの想いを映した自分の心?
それは自分に向けられた誰かの想いに繋げてくれる
でも、それは本当にそうだろうか?
人は鏡、鏡は人
誰かの行いが映る
自分の行いが映る
誰かが向けた想いが映る
自分が向けた想いが映る
その世界は反転した世界
現実と近いけれど、少しズレた世界
だから、そんな想いも少しズレて映る
そう、見る人に都合のいいように
「鏡の中の自分」も、またズレている
違いを抱えて人は生きる
それは、人が人だから
辛いときもあるけれど、違いがあるから面白い
面白いからズレを抱えて生きていく
僕もまたズレている
『眠りにつく前に』
どうやったら美味しいカレーを作れるかな?
コンビニの中華まん新しいの出てたな、明日買おう
職場の××かわいいよなぁ…ヤリ…いや止めておこう…
あ、やり忘れた仕事思いだした…
いや、そんなことより寝なきゃ
外から風の音がするな
海は荒れてるのかな?
週末にでも海行こうかな
天気いいといいな
いや、そんなことより寝なきゃ
寒くなってきたし、温泉入りたいな
あぁ、1年前に□□と一緒に行ったな
結婚も考えてたんだけど…
憂鬱になってきた…
いや、そんなことより寝なきゃ
世界ってなんだろう?
この世界は本物?
誰が本物と偽物を決めるんだ?
少なくとも俺にはわからない
いや、そんなことより寝なきゃ
どうして人は生まれて、死ぬんだろう?
何のために生きる?
生き続けたら何かいいことがあるのだろうか?
死ぬ理由が無いから生きるだけ?
いや、そんなことより寝なきゃ
自分はいったい何をしているのだろう?
何故自分は足掻いているのだろう?
今の自分に満足している?
今の環境は好き?
答えは出ない、出せない
でも、自分で選んでここまで来たことだけはわかる
眠りにつく前に、そんな散らかったことを考えた
考えているということは、まだ眠りについてはいない
まだまだ考えることも、考えたいこともたくさんある
知りたいことも、たくさんある
ひょっとして、そんな僕は眠りにつくには早いのかも知れない
仕方ないから、もうしばらく起きていよう
『永遠に』
変わらない世界、不変の世界
紫の花、緑の若葉が茂る木々、青い草に黄金色の草
鳥達は様々な歌声で耳を楽しませる
動物達はお互いを慈しみ、共に野を駆ける
水の中には煌めく魚達
空気は澄んで、心地よい風が吹く
そこにいる人達は、皆が笑顔で幸せを謳歌する
そして、そんなすべてはいつまでも変わらずそこにある
死ぬことも、朽ちることもなく
そんな世界
変わらない世界、不変の世界
鮮血の花、歪な骨が茂る木々、刃の草に毒の草
鳥達は様々な叫声で耳をつんざく
動物達はお互いを侵害し、共に野を駆ける
濁った水には鱗の剥げた魚達
空気は淀み、腐った風が吹く
そこにいる人達は、皆が濁った目で死を願う
そして、そんなすべてはいつまでも変わらずそこにある
死ぬことも、朽ちることもなく
そんな世界
変わらない世界、不変の世界
それは成長しないということ
それは変わらないということ
成長できないから、新たな路はひらけない
変われないから、新たな世界は生まれない
変わる世界、可変の世界
それは成長できるということ
それは変われるということ
成長できるから、新たな路がひらける
変われるから、新たな世界が生まれる
終わりは寂しく、悲しい
終わりは優しく穏やかな静寂
寂しく悲しいから、いまが輝き喜びに溢れる
そんな路を進んだ先に
新たな世界を次の世代へ託した先に
少し寂しくて、少し悲しくて
それでも、優しくて穏やかな終わりが待っていてくれる
だから、僕は先へ進むよ
変わらない世界よ、さようなら
さようなら、永遠に…
『理想郷』
理想郷、それは、みんなの喜びで溢れる場所
でも、そんなところはどこにもない
みんな、それぞれの価値観があって生きている
誰かの喜びが誰かの悲しみかも知れない
誰かの悲しみが誰かの喜びかも知れない
世の中はそんなもので溢れてる
だから、そんな理想郷はどこにもないし、あっちゃいけない
みんなの価値観を消し去ってしまうものだから
理想郷、それは、みんなの笑顔で満たされる場所
でも、そんなところはどこにもない
みんな、それぞれの想いで生きている
誰かの笑顔が誰かの泣き顔かも知れない
誰かの泣き顔が誰かの笑顔かも知れない
世の中はそんなもので溢れてる
だから、そんな理想郷はどこにもないし、あっちゃいけない
みんなの想いを消し去ってしまうものだから
理想郷、そんな場所はどこにもない
だから、自分の理想郷を自分で作らなきゃ
せめて大切な人達だけでも喜びで溢れ、笑顔で満たすことのできる、そんな場所
そんな場所も誰かの悲しみで溢れ、泣き顔で埋め尽くされた場所の裏側にあるのかな
それなら、僕は理想郷なんていらない
せめて、いまある場所を大切に、少しでも良くなるように足掻こう
一人でも多くの人が笑えるように
一人でも多くの人が喜びに包まれるように