空はこんなにも
都会の空は狭い。
ビル群にさえぎられ、屋根や電柱、電線で区切られている。
見上げても、切り取られた絵画のように味気ない。
夜空もダークブルーに彩られ、星ひとつ見えやしない。
ある日、ふとたまたま付けたアニメで、登場人物が星空に感動しているシーンがあった。
古代の話しなのか、見上げた星空の美しさに彼らは神を感じていた。
うらやましい。
正直に思った、その素朴な感動すらない人生を生きている身だ。
神なんて、とうに廃れてしまったコンテンツである。
空は、こんなにも感動できるモノなのか。
昔の空とはもう違うのだろう、とため息をついた。
子供の頃の夢
とにかく早く大人になりたかった。
私には6歳上の姉がいる。
子供にはわからない難しい話しを両親としては笑い、なんとなく疎外感を感じていた。
身体も大人っぽくてうらやましかった。
私の癖毛ですぐに跳ねる髪の毛じゃない、真っ直ぐな黒髪が美しかった。
子供のころの夢は、とにかく姉と同じに早くなりたかった。
幼い、おさない最初に抱いた夢。
どこにも行かないで
結婚したばかりだった。
両親が勧めた見合い結婚だった。
「赤札がきたよ」
1ヶ月足らずで、夫になった男が言った。
「おめでとうございます、旦那様」
戦争だ、誇らなければならない。
わずかに芽生えた愛情なんて、お国の為に尽くすことに比べたら些細なことだ。
「ありがとう」
その表情をみれなくて私は静かに頭を下げた。
どこにも行かないで、なんて言えやしない時代だった。
好き、嫌い
好きで一緒になったのに、嫌いになるくらいなら別れた方がいいのに。
そう思った両親との関係性。
結婚したら今や私も同じ。
知れば、知るほど。
距離感がわからなくなっていくほど。
貴方のことが好きで嫌い。
雨の香り、涙の跡
ささいなことでも妹は泣いた。
お姉ちゃんの私は泣かないようにしてたけど、一度だけ妹と一緒に泣いた事がある。
夜に2人だけの留守番の時、妹が幽霊を見たと言ったのだ。
泣いて怯える妹に最初は見間違いだと怒っていたけど、だんだんと不安になり最後は私も泣き出した。
初めて見た私の泣き顔に驚いて妹が一瞬、泣き止んだことも覚えてる。
その時に抱きしめた、小さく柔らかい体。
お互いに抱きつきあいながら、頭を撫でられた。
お姉ちゃんも怖いのねと、優しい声で妹は言い、雨の匂いと頬にくっきりと涙の跡があった。