君と見た景色
子供達が大きくなり、巣立った後には貴方と私の2人きり。
貴方はいつも家族旅行に行くと疲れたと言って、ホテルから出て行きませんでしたね。
思い出せば、お金もなく新婚旅行もしていなかった私達。
今日は2人きりの旅行で、普段からぐうたらな貴方が珍しく山に登ろうと誘ってくれたから。
頂上までゆっくりと2人で時間をかけて登っていく。
はじめて貴方と見た景色。
私は忘れませんよ。
心のざわめき
ある程度作品を読むと人柄が見えてくるという。
私は場合はある程度の文章量を読むと、文章のクセが脳内で色やカタチや香りなどのイメージに変換できる。
例えば、仄暗い中にも純粋さがみえるあの人の文章はどこか文学的で、桜の香りがする。
例えば、2次創作を元に発想を飛ばすあの人のまっすぐな文章は、黄色いセロファンで蓋をしたプレゼントの箱みたい。
心をざわめかせる文章はどこか、個性的でそれぞれ美しい。
星
拝啓、私の赤ちゃんへ
はじめまして。
貴方がこれを読む頃はもう立派な大人ということなのでしょう。
私はもうすぐ病で死にます。
死ぬことは怖くないです、寿命は等しく皆にあるものだから。
星にも寿命があるそうですよ。
小さい星は力尽きて黒くなるけど、大きな星は大きな力で爆破し、ガスとなりやがて新しい星の材料になるといいます。
私も貴方という星を生む、大きな星になれたかしら。
願いが1つ叶うなら
「嘘つき」
彼女の去っていく背中を僕は追いかける資格もなかった。
はじまりは昔のほんのひとつの嘘だった。
ひとつの嘘が不自然にならないよう、次々と出まかせを言い気づいたら沢山の嘘をついていた。
嘘を誤魔化すための嘘をまた吐いて誤魔化し、気づいたら嘘だらけの僕に君はあまりにもまぶしかった。
年月が立つに連れいつしか僕は嘘さえ本当のことのような錯覚さえ覚えた。
しかし、錯覚は幻でしかない。
ああ、神様。
願いが1つ叶うなら、
嘘だらけの僕に真実を語るくちを下さい。
ラララ
「ラララ、そーらをこーえてー♪」
歌をうたいながら夢をみる。
ヒーローが僕の目の前に現れてくれる夢。
悪い奴が次々と倒されて、手を差し出して、そして…
鉄格子がはまっている窓越しに空を見る。
鳥が自由に飛んでいた。
僕は知らない。
必死に助けを求めない者の所にヒーローは現れないことを。
僕は知らない。
自分が自分を救う唯一のヒーローになれることを。