虫が嫌いな理由を明確に語る。別に、虫に限った話ではなく、僕は嫌いなモノを嫌いな理由をつけて嫌う。
例えばイカ。生だとどこまで噛んでいいか分からず飲み込むタイミングがわからない。噛んでいるうちに唾液がねっとりして来るのがたまらなく気色悪い。そもそも見た目が怖い。初めて食べたやつはイカれてる。
イカフライなど油よりも強い匂いが立つし、なんだか甘ったるい。あんなに白い体の癖に甘いとは、説明がついていない。小学生の時に無理矢理一口食べさせられたあのイカフライはメラミンスポンジのような歯触りだった気がする。
天日に干してスルメになったとて「かつて生きておりました」とこちらを責め立てるような生命への執着を感じる。
死してなお、味がするのだ。なんなら濃くなっている。
僕は、イカの全てが嫌いだ。きっと向こうも僕が嫌いだろう。同じだけ言われても構わないと思っている。
対して、不思議と好きなものには二の句は告げないものである。
アスファルトを踊る蜃気楼。
波が運んできたシーグラス。
新緑、風に揺れる木陰。
箸より細いそうめんの喉越し。
耳より、心が覚えている祭囃子。
喉が詰まりそうなほど甘いココナッツ。
月明かり常夜灯、目が慣れた時の君の焼けた肌。
夏が連れてくる期待感。
何か、始まる。言葉にできない昂りをいま確かに感じている。
【夏】
なつ、とつく言葉を選んで連ねてみようと思ったけれど、才がなく。「懐メロ(祭囃子になった)」「ココナッツ」しか使えなかった。イカは本当に嫌い。メラミンスポンジの食感は割と満足いっている、私の中では正確に言い当てている。かれこれ、うん10年も口にしていないので悪しからず。
みなさんの夏が少しでも過ごしやすくありますように!
隠された真実。
みなさんから集めた秘密を「だけど私は、それを隠している」でまとめてみました。
髪の毛をフロスにする人がいると知って憧れを持っている。
だけど私は、それを隠している。
中学生までは本気で歌手になろうと思っていた。椎名林檎になれると信じていた。
だけど私は、それを隠している。
高校の時に進路を声優や、ラジオパーソナリティなどを目指したいと本気で考えていた。
だけど私は、それを隠している。
社員旅行で行った沖縄で浮かれて奇天烈な帽子を買ってきた。
だけど私は、それを(家族に)隠している。
社員旅行で行った沖縄で浮かれてアニソンバーに行ってきた。そこで出会った元ウチナーと島唄を熱唱した。
だけど私は、それを(会社に)隠している。
95キロのお父さんと相撲をして、勝った。
だけど僕は、それを隠している。
実は母親の美貌と魅力に憧れがある。
だけど私は、それを隠している。
小学1年生から3年生くらいの記憶がごっそり抜けている。
だけど私は、それを隠している。
Steamのゲームのほしい物リストがえっちなゲームでいっぱいです。
だけど私は、それを隠している。
大好きなゲーム実況者、三人称のPOP UP SHOPでお金を使いすぎた。
だけど私は、それを(同居人に)隠している。
小さい頃に、声優さんに軽い恋をしていた。
だけど私は、それを隠している。
「これはマジでやばい媚薬」友達に一万円で売った薬の中身は、ダイソーのビタミンC錠剤だった。
だけど俺は、それを隠している。
人には言えないほどの結構なM。
だけど僕は、それを隠している。
SNSに突然DMが来た。
日本語が変だったので、外国人かと思ったが実は小学生で数回やり取りをした。
でけど私は、それを隠している。
20代中盤、やたらと人妻にモテた時期がある。
だけど私は、それを隠している。
実はいま、肌が荒れていてニキビができている。そしてニキビパッチを貼っている。
だけど私は、それを隠している。
Xで小説を投稿している。
いいねがついてはいるがそのうち一つは自分で押している。
だけど私は、それを隠している。
家にあった手品の本に載っていた、引田天功に初恋をした。
だけど私は、それを隠して生きている。
身内がキラキラしていて、本当は憧れている。
だけど私は、それを隠して生きている。
私は、秘密にしていることがあります。
だけど私は、それを隠している。
酔っ払いすぎると夜中に台所探検隊になります。
だけど私は、それを隠しています。
ぺけ、が好き。
だけど私は、それを隠している。
どこにも行かないで。
人類は、スマホを捨てた。
それどころか、PCさえも。
大脳基底核に埋め込まれた極小のマイクロチップには高性能CPU、過負荷に耐えるメモリ(RAM)、始めて目を開けてから最後に目を閉じるまでその全てを記憶してもまだ余りあるストレージ(SSDとHDDを併合したSHD)その全てが収められている。
眼球で思想を映す。
指先は願いを叶える。
音声は至高のパフォーマンス。
生命活動の一つ、呼吸さえも情報媒体となった。
人類の希望はここから始まる。
開発者はバーラトの青年実業家。
世界を揺るがせたのは彼がカースト・ダリットからの成り上がりだったことも切り離せない。
幼い頃に、青い空を白い鳥が自由に飛び回った光景をみた彼は「全ての人間にも自由を手にする権利がある」ということを想像し創造した。
彼は全世界197カ国で同時視聴される「マルチバースビューアー」にて次のように語った。
みなさん。
思い描いた自由を手にした時、不自由を感じませんでしたか?それは本当の自由ではなかったのです。
新技術、Pulse kayak(通称:PK)は個人の自由を大衆の自由と非完全的に同期することによって、各々が持つ世界を他に侵害されずに実現する小世界ポケット理論を具現化したデバイスです。
あなたは母体から生まれたその瞬間から無痛かつ安全に自由を手にしているのです。
自由のためには枷を取り払わなければなりません。スマホ?PC?スマートウォッチや、そう、カードや財布も。
体外にある「情報」は全て刺激です。
あなたを不自由にします。
私とともに、私と常に。
どこもに、行かないで。
それが、K P。
一瞬の間の後に大きな拍手と小さな笑いが含まれていた。
字幕には
docomoに、行かないで、とハッキリ表示されていた。
あとがき。
どこにも行かないで。
というテーマを打ち込んだ時に、どうやって繋げようかなーと、何回か口に出してみたんです。
「どこにも行かないで、どこにも行かないで」
そしたら、ドコモに行かないでって。
そこから始まった、空想です。
くだらなすぎる。
雨の香り、涙の跡
お題キープ。
美しいお題だなあ。
美しい君の横顔を
残しておきたくて
彫刻刀で机に刻む。
「せんせー!前田が女の裸を机に掘ってマース」
残酷な勘違いは
恋の終わりを告げた。
違うんです!
これは。。。
言いたくても
言えなかった。
成人式の二次会で
「前田くん、あの時ほんとはさ」
大人になったひろこちゃんは、さらに美しさを増していた。
「あたしのこと見てたのかと思ってた、ちがう?」
なんのこと?と
とぼけたくなったが
潤んだ瞳に
吸い込まれて
「そうだよ、今もスケッチしたいくらい」
ふふ、と彼女は目尻に皺を寄せた。
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あの時が
一瞬にして
色づいた
机の上に
彫った横顔
この恋が
今こそ 叶いますよように
年の分だけ
丸くなった刃