“やさしくしないで”
離れる時に寂しくなっちゃうから
けど、ずっと離れないから
いま優しくしてくれるんだよね?
ずーっとあなたのことだけは信用してるよ
ずっと、わたしのそばにいてね
今はまだ、“隠された手紙”を閉まっている。
それは祖母への手紙だ。もうすぐ祖母が誕生日で、私は手紙を書いた。祖母には、いろいろなことを教えてもらった。食事のマナーから、友人関係のいろは、兄妹間の距離の取り方、そして「言葉遣い」だ。
わたしは、人の「言葉遣い」がすごく好きだ。
その人がどういう人生を歩んできたのか、言葉の一つひとつで手に取るようにわかるからだ。
そんな私の人生の「言葉遣い」を込めた、祖母への思いを、今はまだ“隠された手紙”に閉まっている。
“バイバイ”って言われるとさみしくなる
けどこういう女はめんどくさいって知ってるから、
わたしはちゃんと“さよなら”って言うよ
またね、とかじゃない
ちゃんとあの人がいなくても、またあの人に会う日まで
私は私なりに生きていくよ、の、“さよなら”
“まだ知らない君”を見させて欲しい
めちゃくちゃ変なフォームのバドミントンとか
めちゃめちゃ当たらないゴルフとか
めちゃくちゃ遅い50m走とか
集中できなくて教科書で同じ行ばっかり読んでるとか
テスト全くわからなくて消しゴムで解答番号選ぶとか
全然寝られなくてわたしに連絡してきちゃうとか
私に会いたすぎて全く興味ない映画誘うとか
なんかそういう、全然好印象じゃなくていいことから、わたしが嬉しくなるような、好意的になるようなことまで、全部全部、“まだ知らない君”を見せて欲しい。
私の教室に来たのに、私を知らないふりして、
わたしより遠くに行って、わたしに背を向けて人の話を聞いて、かなしいささみしい
こんなに好きになると思ってなかった
こんなに寂しい思いをするなら、“帽子かぶって”、あの人のことなんて見ないまま、今を迎えたかったな
“帽子かぶって”