こかぴ

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3/19/2024, 10:54:12 AM

「今月末、会えるかな?」

遠距離恋愛中の彼からLINEがきた。
久し振りに会える。約3ヶ月ぶりに会えるんだ。

私は、「もちろん!」と返信した。

どんな服にしようか?
どこへ行こうか?

まだ半月はある。
今からたくさん考えよう。


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約束の日、とびっきりのオシャレをし、彼と待ち合わせしている駅に着いた。
あと10分で彼が来る。

彼と私は付き合って3年、出会った当初から遠距離恋愛をしているので、物理的距離が離れていることに慣れてはいるが、やはり会えるのは嬉しいものだ。

インターネット上で知り合った私たちが初めて会ったのは3年半前だった。
共通の趣味のオフ会が開催され、そこで初めて顔を合わせた。
私は話していくうちに惹かれていったが、彼は一目惚れだったようで、告白していいものか随分迷ったと後から聞かされた。
そんなこと考えないで、告白してくれても良かったのにね。なんて。

そんなことを考えていると、彼が乗る電車が見えてきた。
もうすぐ、彼が降りてくる。
いつもすぐに私を見つけて、ワンコのように駆け寄ってくる。

そんな姿を想像して、私はクスッと笑ってしまった。



「胸が高鳴る」

3/18/2024, 10:41:48 AM

こんな世の中はもう嫌だ。

遊ぶ時間も、テレビを見る時間も、全てを費やしてきたのに、私は大学受験に失敗した。
友達との約束も断っていたから、友達は皆離れていった。

そんなタイミングで、両親の離婚。
お互いに不倫をしていたらしい。私は邪魔らしくて、お金だけ渡されて1人で暮らすことになった。

同じ大学に行こうと誓った彼氏とは、自然消滅。
私の受験失敗が原因だ。

浪人する金はない。
働くことを余儀なくされたが、就職先も決まらない。お祈りメールばかり。


なんで私が、なんで私ばかりが、こんな目に遭わなきゃならないの…

こんな人生はもう嫌だ。


私は、ベランダの柵に足をかけた



「不条理」

3/17/2024, 10:13:20 AM

「…ごめん、別れよう」

久し振りに会った彼女が、涙目でそう告げた。

「…わかった、五年間ありがとうな」

俺はただそう伝えた。

「うん、今までありがとう。またね」

そう言って少し小走りで去っていく彼女の後ろ姿を眺める。
俺は絶対泣かない。

だてに五年も君の隣にいたわけじゃない。君のことは何でも知ってる。
君は嘘をつくのと隠し事が下手で、泣き虫で、甘えん坊で、笑顔が可愛くて、優しくて…
俺にはもったいない彼女だ。


どんな姿の君も愛する自信がある。
例え痩せ細って、黒髪のロングヘアーが全部抜け落ちても。

だから、近いうちお見舞いに行くから、また笑顔を見せてくれよな。



「泣かないよ」

3/17/2024, 9:40:49 AM

音がする。

新居に入居してから半月。
ピッタリ1時になると、変な音が聞こえるのだ。

ここは5階建マンションの2階。
もちろん、他の住民も生活している。
周りの住民の発する音の可能性もある。

ただ、違うのだ。
他の部屋から聞こえるという感覚ではなく、私が暮らしている部屋の中から聞こえる。

ワンルームなのだが、浴室の方から音がする。
浴室には窓があり、風の可能性もある。
だが毎日ピッタリ1時にのみ、変な音が聞こえるのはおかしいし、明らかに単純な風の音ではない。

怖いと思いながら、音が聞こえる時間に浴室を覗いてみた。
窓を叩く手が見えた気がする。

「えっ」

思わず、声を出してしまった。
その手はスーッと消えた。

それ以降もあの音はまだ聞こえるが、もう見に行く勇気はない。
ここは2Fで、浴室の窓がある位置に人が立てるスペースはない。

アレを見てしまってから、音の鳴る時間が少し長くなった気がする。

私はただの、怖がりなのだろうか。



「怖がり」