「…ごめん、別れよう」
久し振りに会った彼女が、涙目でそう告げた。
「…わかった、五年間ありがとうな」
俺はただそう伝えた。
「うん、今までありがとう。またね」
そう言って少し小走りで去っていく彼女の後ろ姿を眺める。
俺は絶対泣かない。
だてに五年も君の隣にいたわけじゃない。君のことは何でも知ってる。
君は嘘をつくのと隠し事が下手で、泣き虫で、甘えん坊で、笑顔が可愛くて、優しくて…
俺にはもったいない彼女だ。
どんな姿の君も愛する自信がある。
例え痩せ細って、黒髪のロングヘアーが全部抜け落ちても。
だから、近いうちお見舞いに行くから、また笑顔を見せてくれよな。
「泣かないよ」
3/17/2024, 10:13:20 AM