夏の暑さとも少し距離ができ、冷たい空気を抱える冬がこちらを覗く時期。
そう、今は所謂「秋」という季節である。
真夏の青空を仰ぐと、非常に気持ちが良いものだ。
ジリジリと熱を放つ太陽と、絵の具をこぼしたかのような真っ青な空。
それに勝るものはないと思っていたのだが。
今朝、目にしたあの空がどうも心から離れてくれない。
夏と比べ控えめに熱を贈る太陽と、それに合わせるかのようにささやかに染まる青。
秋特有の柔い風が頬を撫でた。
まるで「秋へようこそ」と告げるかのように。
こんなもの、好きになるしかないではないか。
「お邪魔します」と秋に告げ、僕は自転車を漕ぐのであった。
〝秋晴れ〟
心の底から好いていた人。
君のためなら何だってできる気がした。
むしろ、何もかもが君のためでありたかった。
僕の日々で煌めく星のような、そんな存在だった。
忘れようと思っても忘れられない?
いや、忘れようと思ったことなんて一度もない。
これほどまでに素敵な出逢いを忘れてたまるものか。
これからもずっとずっと、大切に抱えていくつもりだよ。
〝忘れたくても忘れられない〟
空全体を橙色に染め、道行く人の表情をささやかに照らす。
見上げると、グラデーションが美しい空模様が広がっていた。
忙しなく駆ける僕らをふんわりと抱きしめてくれるその光は、静かにあくびを溢し、そっと微笑むのであった。
〝やわらかな光〟
か弱い子猫に向けられたその鋭い眼光が、恋心であればいいのにと思った。
飯の時間だとでも言うかのように仲間を呼び、声を上げるその黒い鳥は、愛というものを知っているのだろうか。
小さな体で必死に鳴いているその姿に、居ても立っても居られなくなった。
そんな僕は気がつけば腕の中に抱いていたその柔い温かさに、今日も愛を知るのであった。
〝鋭い眼差し〟
毎日を惰性で生きる僕という人間は、一体何のために此処で息をしているのかもよくわからない。
大好きに自身の全てを懸けて、追い続けることができる人は本当に凄いと思う。
そういう人達の瞳はきらきらと輝いていて、僕にとっては眩し過ぎるものだ。
もし僕があの夢を追い続けていれば、その人達と同じように瞳を煌めかせることができたのだろうか。
僕の頭上を鳥の群れが羽ばたいていく。
精一杯に翼をはためかせ、まだ見ぬ景色を夢見ながら。
僕の翼はどうだ、一体いつから広げていない?
使い慣れていないこの翼で、何処かへ行けるのだろうか。
この広大な空へ、光を目指し飛び立った鳥達の後に僕も続けるのだろうか。
空を仰ぎそんな思いに耽りながら、久しく伸ばしていなかった翼を僕は撫でるのであった。
〝高く高く〟