9/28/2023, 7:08:48 PM
『また明日!』
夕暮れを背に、彼女は笑顔で手を振った。
貴方の明日はいつ訪れているのだろう。
9/25/2023, 5:59:14 PM
名前も声も知らない。
二枚の硝子と遊び場を隔てて、
少しの間笑いあっただけのあの子。
一日のほとんどをすやすやと眠りこけているあの子。
細い管を細い腕に何本も付けたあの子。
それなのに、あしたを信じてやまないその瞳。
ああ、なんて眩しいのでしょう。
ああ、なんて素敵なのでしょう。
ああ、私もあの子のように笑えていたら。
あの子のように満ちた目を見せられていれば。
何かが変わっていたのでしょうか。
それは小さな嫉妬でした。
それは膨れた妬みでした。
でも、あの子は醜さにしらないふりをしてくれた。
宝石みたいなきらきらした瞳が
遠い遠い私の濁りを捉えるたびに、
あの子はとてもとても嬉しそうに、へにゃりと笑って管だらけの白い手を振るのです。
いつしか私の盛った濁りは澄んでゆきました。
けれど、澄んだ濁りはいつか水にとけてしまうもの。
それは、お別れでした。
ひらり、ひらりと飛んでゆけ。
私の最期よ、小さな彼の瞳にささやかな彩りを。
中庭を挟んで南棟と向き合う小さな個室。
まっさらなその部屋で、不格好な飛行機を飛ばした少女を
はためいたカーテンが包みました。