彗星

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5/12/2024, 5:45:46 PM

子供のままで良かった。




ジリジリッジリジリッ___
「〜…」
朝から静かな部屋に響き渡る、鬱陶しいアラームの音。

「…はあ。」
スマホのアラームを止めて、ため息から始まった1日は、ジメジメとした空気に包まれた雨だった。
「…」

朝起きてすぐスマホを確認した。

通知は1件も来ていない。
パッとスマホに表示されている時刻に目をやると、出勤時間に近づいていた。
まだぼやけている目を擦りながら重い腰を起こす。
「うっ、、」
昨日上司と呑みに付き合わされたせいか、お酒が頭に残っている。おかげで頭が電気が走ったように痛い。

狭く短い廊下を裸足で歩き、洗面台へ向かう。
「……あぁ、、、はあーー。。」
昨日帰ってきてそのままにしていたコンタクトと、もう何年も元の場所に戻していない散らかったプチプラのコスメたちを見ながらまたため息をつく。
特に好きな人もいるわけじゃない、誰かに見てほしいわけでもないのに自分の顔面にデコレーションをする。
誰の為でもないのに。


「はあ…なんかニキビできてるし…てか鏡汚。」
掃除している余裕なんて今はない、そんなの言い訳だった。
シミとそばかすだらけの疲れきった顔は、昔のピチピチの肌とはかけ離れていた。
「なんで誰のためでもないのにメイクなんかしてんだろ。私って馬鹿すぎ」
そんなことを言ってる間に顔面は仕上がっていた。
鏡を見ても、特に感想なんて湧かない。
強いて言うなら「頑張ったな」くらいだ。

「髪…今日は雨降ってるし最悪すぎ。髪はうねるし崩れるし。もうまとめるだけでいっか。」
適当なお団子をして、いつ買ったかも分からないヘアピンで髪をまとめる。

「服は、、まあ一昨日着たやつでいっか。どうせ私のことなんて誰も見てないだろうし。バレないでしょ」


「まあ…バレたところでなんだけど。笑」
特に魅力も感じない服を着て、あとは…


「あーー、、」
溜まりに溜まりまくった洗濯物に、見て見ぬふりをする。
「朝ごはんなんて食べる余裕ないし、今日は抜きでいっか。」


汚れまくったビニール傘を開いて雨の中駅まで歩く。
「やば、電車もう来るじゃん!!」
急ぎ足で駅のホームに向かう。
「はあ、はあ……間に合った、、」
ギリギリドアが閉まるタイミングで電車に乗った私は、スマホで時刻を確認する。
「まだ大丈夫そうか。。電車の出発が遅れるとこっちも遅れるからなー。。」

ガタンゴトン、ガタンゴトン____
「っ…」
〈…わっ……あ、すみません。押してしまって。〉
「あ、い、いえいえ……」

満員電車に揺られながら、知らない誰かの傘が足に当たる。
「(はあ……ほんっと勘弁。)」

やっと満員電車から降りたと思えば、次から次へと人混みに流されそうになる。
力つよく鞄を握り、改札を通る。

「やばいやばいっ、遅れるかもっ…!!」
ヒールを履きながら全力で走った甲斐があったのか、会社には5分前に到着した。


〈おー、今日も齋藤さんは汗だくだねー笑〉

「(くっそ、、こいつわざわざそんなこと言いに来たのかよデリカシーねーな。つーか男のお前には分かんねーだろ!!こっちはヒールでダッシュしてんだよヒールで!!!)」

〈ていうか、齋藤さん15分前行動くらい守った方がいいよ〜?笑社会人としてそんくらい常識じゃない?笑〉

「(黙れ新人!!!お前にとやかく言われる筋合いはねえんだよ。こちとら新人のお前よりも低い時給とボーナスでなんとか生活してんだよ。口出ししてくんな!!)」
「ま、まあそうだよね。気をつけるよ(笑)」

2時間後____
〈齋藤くんさこの前言った資料、もうできてる?〉

「あー…すみません部長、もう少しだけお時間頂いてもよろしいでしょうか?」

〈はあ……いや、まあ別にいいんだけどね。君には信頼を置いているんだ。あまり期待の裏切るようなことはしないでくれたまえよ。〉

「はい!部長!明日までには完成させれるよう、頑張ります!」


「(うっぜーーーー。第一この資料まだあと1週間も期限あるじゃねえかよ。こっちは他にもやらないといけないことあるんだよ。てかお前が勝手に期待してきてるだけでこっちはお前に1mmも期待してねーけどな!!!)」


勤務終了後____
「(ふう…今日はやることも終えたし久々に残業無し!会社の飲み会もこの間やったばっかりだからないし…家帰ったら速攻お酒飲んで映画見て寝よーっと)」

〈ねえ齋藤さん、〉

「…?あー田中さん。どうしたんですか?」

〈知ってる?同じ部署の櫻井さん、あの人部長と関係持ってるんですって!!〉

「え?部長って奥様いらっしゃるんじゃ…」

〈奥様どころかまだ小さなお子さんも居るのよ!?なのにあの部長ってば…それに、櫻井さんも凄いわよね。あんな皆に嫌われてる部長に手を出すなんて…笑それに、私前から思っていたのよ。なんだか櫻井さんって……〉

「(はあ…長々と愚痴言ってくんな本当。笑まあ女同士これは避けれないけど、今日くらい帰らせてくれ…)」

〈あら、ごめんなさいこんなに長々と。笑それじゃ、また明日ね。齋藤さん。〉

「えっ?あぁ、はい!また明日。仕事頑張りましょうね!」


帰宅後____

「あぁぁぁ…………疲れた、、、」
正直今にも瞼がとじそうなほど眠たいけど、化粧は落とさなきゃダメだしお風呂にも入らなきゃならない。
服だってまだ着替えてないし。

「今日は久々に定時で帰れたのに…1人で飲むわけでもないし、映画ももういいや。。」


「…子供の頃は、こんな悩み無かったのにな。」
なんて、ソファに寝転びながら重い瞼がとじていく。
明日もまた、同じような日々が送られることを感じながら__



"子供のままで"

4/29/2024, 5:47:13 PM

君へのメッセージが今日も風に乗る。














「紙飛行機って。笑古いなあ。」
















きっと明日もまた、紙飛行機が風に乗る。

4/27/2024, 5:45:59 AM

善悪を決めるのはいつも他人だ。

4/24/2024, 6:21:12 PM

春から高校生。

私は、期待を胸に校門に足を踏み入れた。

_________________________

教室は広かった。
知らない生徒が沢山いて、皆が緊張しているのがすぐ伝わった。


『今日からこのクラスを担当する柳田です。何か分からないことがあれば相談してください。
この後は学年で体育館に集まってこの学校の校則やルールについて説明会が行われるので各自先生の指示に従って行動してください。』

先生の堅苦しい挨拶と説明が終わると、皆が廊下へと並んだ。
体育館に向かうまでの道のりは、空気が重かった。


〈では、この学校の校則、ルールを説明します。〉

_________________________

あの日から半年が経った。
だんだんクラスの皆も打ち解け初め、学校の行事に向けて一致団結を目指している。

が、私はクラスに馴染めていない。
いや、正しく言うと私はクラスでは凄く浮いていた。

『立華さん、スカートが短いですよ。』
「はあ?笑お前に関係ないじゃん。てか、別にスカート短いからって何かに支障出んの?笑」
『スカートを折らない、切らない、これはこの学校のルールであり校則です。』
「うるさ、笑ルールばっか。きめーんだよ。」


〈ねえ、正直さ立華さんって浮いてるよね笑〉
〈わかるー、笑何か1人だけ不良っていうかギャルっていうの?クラスに馴染めてない感あるよねー笑〉

「(聞こえてんだよ。陰キャのくせに。)」

『おい!立華!お前それネイルしてるんじゃないのか?お前自分が何やってるのかわかってんのか!!!』
「うっせーよジジイ!!ネイルして何がわりいーんだよ!!」
『おい!立華!!!待て!!』

〈うわー笑また立華怒られてんじゃん、笑 あいつまじで怖ぇ。〉


『立華さん、あなた髪を染めてるわよね!!この学校は髪を染めてはいけないはずよ!!ルールを守りなさい。』
「おめーに関係ねーだろーが!!ババアのくせに調子乗んなよ!しね!!!」

〈立華って怖いよな〉
〈あいつキモくね〉
〈調子乗んなよな〉
〈イキり〉
〈馬鹿〉


《死ねよ。》


「ルールとか校則とか、知らねーよ。」


_________________________

学校の帰り道だった。いつも通るコンビニの前に、たむろしてるJKが3人居た。

そこに居る3人は制服も可愛くて髪も派手髪で、スカートも短くてネイルもしてた。
スクバも私より沢山デコってたし、スマホもジャラジャラで派手だった。

「羨ましい。」口に出すつもりはなかった。

『え?』
3人がこっちを見た。
そして、コソコソ話しながら私に近づいてこう言ってきた。

『良かったら友達にならない?』

そこから私は高校生になって初めて友達ができた。
自分と同じような髪色、髪型。
同じ好み、同じ趣味。


「ねえ美優今日カラオケ行かない?」
「おーアリ。笑」
「つーか美優だけ高校違うのまじ萎えるよねー」
「がちそれな!!美優がもっと頭良ければうちらの高校これたのにねー。」
「はうざ笑私の高校校則厳しいけどルールなんて破るためにあんだから破ってなんぼっしょ」
「おー、笑!美優つよ笑」
「うちらってほんと気合うし最高!!美優が言ってる通りルールなんか守ってもなんにもなんねーしな。」


『スカートは切らない、折らない』
『ネイルしちゃダメ』
『派手髪ダメ』
『学校抜け出したらダメ』
『スクバデコっちゃダメ』
『お菓子持ってきちゃダメ』
『授業中スマホいじったらダメ』

ほとんどの校則、ルールを破ってきた。
色んなヤツらに悪口もめちゃくちゃ言われてきた。

けど、昔からそんなん気にしない精神だし優等生な真面目ちゃんにならなかったおかげで、今友達とカラオケに来れてる。


正直、ルールなんていらないし守らなくていい。
私は、私の人生をいくから。


"ルール"

4/20/2024, 1:28:58 PM

可愛い洋服

高いコスメ

お金

友達 。




「いいよねー、美麗は。可愛くてさ」
〈そうかなー笑〉
「そうだよ!羨ましい。」
〈んー、そんなことないけど。〉
「ていうか、彼氏とかいないの?可愛いし性格いいし。お洒落だし。」
〈えー?笑〉
「それに美麗お父さん社長なんでしょ?社長令嬢とか美麗ちょー幸せじゃん!友達も多くて人気者だし。」
〈全然、全然幸せじゃないよ。〉
「もー!ほんと美麗って謙虚すぎるっていうかなんというか。」
〈笑笑〉



確かに、友達も多いしお金もあるし顔も悪くはないし。

けど、幸せじゃない。


何か。物足りない。






何も、いらない。

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